2007年6月27日(水)「しんぶん赤旗」
給料・休日 聞くな
労働局セミナー 面接指導
16府県で違法テキスト
各地の労働局が民間企業に委託した就職支援セミナーでの、面接指導で「間違っても、『給料』、『残業・休日』について聞いてはならない」などと労働者の権利を侵害する記述をしたテキストが使われていたケースが、十六府県におよぶことが二十六日までにわかりました。日本共産党の吉川春子参院議員に、厚労省職業安定局が答えたものです。
青年党員が告発
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この問題が明らかになったのは、セミナーを受けた島根県の日本共産党の青年支部メンバーが内容に疑問に感じ、母親に相談したことがきっかけ。日本共産党の尾村利成県議が、十九日の議会でとりあげ、溝口善兵衛県知事も「不適切」と答弁していました。
テキストは、予備校大手の「東京リーガルマインド」(本社・東京)が作成したもの。各労働局が、セミナーを同社に委託した二十府県のうち、十六府県のテキストで問題記述がみつかりました。
テキストにはほかにも、「面接担当者が2人以上の場合、いち早く上位者を見抜き、その者が好みそうな回答をこころがけます」、経営者に好まれる言葉は「忍の一字」、「金銭や休日の多寡は問題にすべきでない」などの記述が含まれています。
テキストの内容は、各労働局がチェックすることになっていましたが、見過ごされており、リーガルマインド以外の受託業者のテキストでも、同様の問題表現がみつかっています。
厚労省職業安定局は、「労働条件を確認してはならないという誤解を与え、求職者の不利益になる」として、二十日に問題部分の削除を労働局に指示。全国のセミナー実施状況の調査結果を数日中に公表する予定です。東京リーガルマインドをめぐっては、政府が進める規制緩和のもとで設立した、初の株式会社立の大学であるLEC大学でも、多くの教員に実態がないとして改善勧告を受けています。
民間丸投げ 改めよ
吉川春子参院議員
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労働者の権利を守るべき厚生労働省や各県労働局の公的なセミナーで、労働者の権利を侵害するセミナーが行われていたことは重大問題です。
しかも、LECは、違法行為で文部科学省から大学初の改善勧告を、自治体から入札指名停止を受けた企業です。このような企業に税金で違法なテキストを作らせ、セミナーで教え込ませていたことは二重に許されません。
この背景には、「官から民へ」といって、国が責任を果たすべき公共サービスを民間企業に丸投げしている問題があります。厚労省は、ハローワークの公的職業紹介事業についても民間委託する計画ですが、直ちに撤回し、民間委託事業の総点検と再発防止策を講じるべきです。
東京リーガルマインドにセミナーを委託した20府県 岩手、宮城、山形、埼玉、岐阜、愛知、滋賀、京都、大阪、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、愛媛、佐賀、長崎、熊本、大分、沖縄
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