2007年6月27日(水)「しんぶん赤旗」
「慰安婦」決議を可決
米下院委 日本政府に公式謝罪要求
「靖国」派の孤立鮮明
【ワシントン=鎌塚由美】米下院外交委員会は二十六日(日本時間二十七日未明)、旧日本軍の「従軍慰安婦」問題で日本政府に公式の謝罪を求める決議案を採択しました。民主、共和両党の賛成多数で可決され、その後の本会議でも採択される見通し。決議案に拘束力はないものの、安倍政権をはじめ「慰安婦」の強制性を否定するなど過去の侵略戦争を美化する「靖国」派の孤立が一段と鮮明になっています。
決議案は、「慰安婦」問題で日本軍による強制と関与を認めた河野官房長官談話(一九九三年)に言及し、「日本政府の当局者は近年、(同談話を)撤回したい願望を表明し続けている」と指摘。日本政府に対し、▽明確であいまいでない方法で謝罪し、歴史的な責任を公式に認める▽首相が公式声明で謝罪を表明する▽「従軍慰安婦」はなかったという主張を明確に、公に否定する▽現在と将来の世代に教育する―ことを求めています。
決議案は一月末、マイク・ホンダ議員(民主)が提出。二月には韓国とオランダ出身の三人の元「慰安婦」の女性が初めて米議会で証言しました。
安倍首相は三月、「慰安婦」問題で「強制性を裏付ける証拠がなかった」と発言。これを機に国際的な批判が高まりました。米主要紙は社説で安倍首相を批判、米議会では当初六人だった決議案の共同提案議員が急増。二十五日現在、百四十五人となり、ラントス外交委員会委員長も名を連ねています。
十四日、日本の自民、民主の「靖国」派国会議員四十四人らが「慰安婦」強制はなかったと主張する意見広告をワシントン・ポスト紙に掲載。その二日後、ラントス外交委員長は同決議案の採択日を言明し、本会議でのすみやかな採決に意欲を表明しました。
「慰安婦」問題をめぐる決議案は、昨年九月、前会期の議会下院の外交委員会(共和党ハイド委員長・当時)でも採択されました。日本政府に責任を認めるよう求める同決議案は、日本政府からの働きかけもあって本会議では可決に至りませんでした。
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