2007年6月28日(木)「しんぶん赤旗」
「慰安婦」問題
「強制性ない」の首相発言 撤回せよ
共産党、一貫して追及
|
日本共産党は、「従軍慰安婦」問題で早くから元被害者の立場に寄り添いながら、「従軍慰安婦」が強制連行された事実を認めるよう繰り返し政府に迫り、実態調査を要求してきました。こうした追及の結果、政府が、日本軍の関与・強制を公式に認め、反省とおわびを表明したのが一九九三年の「河野官房長官談話」です。
安倍政権が誕生してからも、この「河野談話」を継承するのかどうか、きびしく迫ってきました。安倍首相が中堅議員だった九七年、国会質問で「強制性を検証する文書が出ていない」などと強制性を否定し、「河野談話の根拠が崩れている」と主張するなど、「従軍慰安婦」問題の存在を否定する「靖国」派の立場に立っていたからです。
「河野談話」継承を
日本共産党の志位和夫委員長は、安倍首相が就任した直後の二〇〇六年十月の国会で、ただちに首相の認識を追及。首相のかつての質問も引用しながら、「いまでも『河野談話の根拠は崩れている』という認識なのか」とただしました。
本会議、衆院予算委員会での繰り返しの追及に、首相は、「『河野談話』を引き継ぐ」と答えざるを得ませんでしたが、強制に「狭義」「広義」をもちだして、「狭義の強制性を裏付けるものはない」と答弁しました。
志位氏は、河野談話は、首相のいう「狭義の強制」も認めていると指摘し、首相を批判。「この非人間的な犯罪行為によって犠牲となったアジアの方々、とりわけ直接被害にあわれた方々にたいして謝罪をされるべきではないか」と迫りました。
下村氏の罷免要求
今年二月、米下院で「慰安婦」問題の決議案採択の動きが再び起こると、安倍首相は、「狭義の強制性を裏付ける証拠はなかった」と発言。下村博文官房副長官にいたっては「従軍慰安婦はいなかった。日本軍が関与していたわけではない」と、河野談話を全面否定する発言を公然と行いました。
日本共産党は、市田忠義書記局長が記者会見し、「首相の発言は、事実上、河野談話の否定につながる」と批判。吉川春子参院議員は、予算委員会で、首相に「強制性はない」という発言を撤回するよう追及しました。
首相は、「おわび申し上げている」「河野談話を継承する」といいながら、発言の撤回をせず、吉川質問は外国の報道機関によって世界に伝えられました。
志位氏は記者会見し、強制性を否定した首相発言の撤回と、政府見解を真っ向から否定する下村官房副長官の罷免を要求しました。
「矛盾の拡大」警告
志位氏はさらに、「河野談話を覆そうという動きが底流にある。河野談話では『慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった』といっており、ここに強制性の核心がある」(三月二十七日CS放送・朝日ニュースター)と指摘。
首相発言の撤回と下村副長官の罷免について、「そうしない限り、おわびは本物と受けとめられない。従軍慰安婦問題で、歴史をゆがめ、元慰安婦を傷つける発言に固執することは、拉致問題の解決も遠ざける」と厳しく迫りました。
ことし五月の日本共産党第四回中央委員会総会で、志位氏は「従軍慰安婦」問題での「強制連行はなかった」とする「靖国」派が安倍政権の中枢を握ったことの危険性を警告。「自民党政治のゆきづまりをいっそう深刻なものとするとともに、アジアや世界との矛盾を拡大せざるを得ません」と指摘しました。
■関連キーワード