2007年6月30日(土)「しんぶん赤旗」
公明党 「増税戦犯」プラス公約違反
住民税増税 火消しに躍起ですが
消えた2兆円 どこへいった
6月からの住民税増税に国民の怒りが沸騰しています。増税の旗を振った公明党は、火消しに躍起ですが、「増税戦犯」の事実も公約違反の事実も消せません。
定率減税廃止を提案
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公明党は「6月から住民税が増えるの?」(公明新聞五月二十九日付)、「給与明細を見たら住民税が増えていた」(同六月二十四日付)と、問答形式で住民税増税への釈明に追われています。
それもそのはず。増税の原因は、自民・公明政権が決めた定率減税の廃止(所得税は一月、住民税は六月実施)だからです。
定率減税廃止を言い出したのは公明党です。公明党は二〇〇三年九月に「年金100年安心プラン」を発表し、基礎年金の国庫負担引き上げの財源に定率減税の縮小・廃止を充てることを主張。同年の総選挙(十一月九日投票)でこのプランを、マニフェスト(政権公約)として大々的に宣伝しました。
公約どおり、自民・公明政権は、定率減税を〇五年度税制「改正」で半減(実施は〇六年)、〇六年度税制「改正」で廃止(実施は〇七年)することを決めました。
公明党を「増税戦犯」と報じたのは東京新聞〇四年十二月十六日付です。「定率減税協議検証 公明“増税戦犯”恐れ『白紙に』 自民『言いだしたのはどっち!』」との見出しの同記事。翌年夏に都議選を控え、増税の「戦犯」にされるのを恐れ、与党協議で「定率減税の見直しはやらない」という公明党側に、自民党幹部が「許さない。もともと公明党が言いだした話だろう」と反発。結局、定率減税「半減」が決まったてん末を紹介。協議後、「公明党メンバーの一人は『うちが言い出しっぺだから、そこを攻められたらどうしようもない』と言って、力なく笑った」と報じました。
「皆さん! 定率減税『全廃』は公明党のおかげです」(『週刊新潮』〇七年六月二十八日号)というのは、いまや商業メディアでも常識になりつつあります。
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「年金財源」のはずが
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公明党の〇三年総選挙での公約のうち、増税だけは着々と実行されました。ところが、定率減税廃止で年金財源を確保するという公約は、宙に浮いたままです。
公明党の公約は次のようなものでした。
「段階的に基礎年金の国庫負担割合を現行の1/3から1/2に引き上げます」
「必要な安定財源(約2兆7000億円)について、所得税の定率減税を3段階で廃止して約2兆5000億円、一部の高額所得者への年金課税で約2000億円を確保します」(〇三年総選挙の法定ビラ)
実際はどうなったのか。財務省によると、〇七年度時点(平年度ベース)、年金課税強化で約二千四百億円、所得税の定率減税の縮減・廃止で約二兆六千億円、あわせて約二兆八千四百億円の増収です。ところが、基礎年金の国庫負担割合引き上げのために充てられたのは、必要額の二割弱にすぎない約五千百億円だけです。
この問題を国会で追及した日本共産党の小池晃議員は「計画どおり実行されたのは増税だけ。増税分の五分の一しか基礎年金の国庫負担に回っていないのは、国民に対する約束違反だ」(三月二十九日の参院厚生労働委員会)と批判しました。
増税で庶民から吸い上げた約二兆八千四百億円のうち、残りの二兆三千億円を超える税金は、いったいどこへ消えてしまったのでしょうか。
公明新聞六月二十四日付も「定率減税の廃止分は何に使われているのか」との設問に「一部が基礎年金の国庫負担引き上げの財源に充てられており」と「一部」しか年金財源に充てられていないことを認めています。
定率減税だけでも、〇六年の半減で約一兆七千億円増税(所得税約一兆三千億円、住民税約四千億円)、〇七年の廃止でさらに約一兆七千億円の増税(同)をし、庶民の「安心」を脅かす自民・公明政権。その一方で、〇七年度に大企業減税(減価償却制度の見直し)と大資産家減税(証券優遇税制の延長)あわせて一兆七千億円の減税を実施。大企業・大資産家の「安心」にだけは熱心です。
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