2007年6月30日(土)「しんぶん赤旗」
イラク撤退 全米市長会議が決議
米社会フォーラムで紹介
【アトランタ=山崎伸治】米国の人口三万人以上の千百三十九自治体の首長が参加する全米市長会議は、ロサンゼルスで開いた第七十五回年次総会(二十二―二十六日)で、イラク撤退を米政府に求める決議を初めて採択しました。二十八日、アトランタで開催中の米社会フォーラムで紹介されました。
決議は米政府に対し、「米軍の迅速で慎重な撤退についてすみやかな計画化を開始すること」を要求。イラクに対する将来の軍事援助や復興資金、その他の支援は、「イラク政府が検証可能な目標を達成すること」と結びつけるよう求めています。
さらに帰還兵に対し、「医学的、心理学的、住宅その他の支援事業」を施し、「地方政府がそうした事業に支出するのを支援する」ことも求めています。
総会は決議案をめぐって議論。最終的に賛成五十一、反対四十七で採択しました。
この決議については、フォーラムの分科会や、全体総会のパネル討論でも取り上げられました。
全米最大の反戦組織の連合体「平和と正義のための連合」のジュディス・ルブランさんはこの決議について、「地域から撤退の声が上がっていることの現れ」と指摘。平和の問題と地域の問題とを結合させていくことが重要だと強調しました。
議会に働きかけ/帰還兵にケアを
米社会フォーラム
「反戦」活発に議論
【アトランタ=山崎伸治】当地で開催中の米社会フォーラムは二日目の二十八日、三百二十以上の分科会が開かれました。戦争と平和の問題については、分科会のほか、夜の全体総会でもパネル討論が行われました。
「イラクでの戦争を終わらせ、新たな戦争を防止する」と題した分科会では、イラクの現状が紹介され、米軍撤退をどう議会に働きかけるかなどについて話し合われました。
米国の反戦運動などの招待で訪米中のイラク石油労働者組合連盟書記長のファレ・アブード・ウマラさんは、イラク国民議会で審議されている石油法について、「これはイラク国民のためにならない。米政府が押し付けたものだ」と批判。在米イラク人活動家のライド・ジャラルさんは「イラクで起きている武装攻撃の97%は米軍に対するものだ。米軍が撤退すればなくなる」と指摘しました。
イラク戦争開始直後に息子を失ったフェルナンド・スアレスさんは「戦争をなくすには、今後一兵たりともブッシュ大統領に渡さないことだ」と強調。女性反戦組織コード・ピンクのメディア・ベンジャミンさんは「議会に追加予算をこれ以上認めさせないことが重要だ」と述べました。
元外交官で反戦活動家のアン・ライトさんは「帰還兵はだれもが精神的、感情的に傷ついており、ケアが必要だ」と指摘しました。反戦イラク退役軍人会のエイドリアン・ケネディさんは「二年前に退役したが、現状に怒りを覚えていた。今年初めに会に加わり、デモにも初めて参加して、仲間に力を与えてもらった」と自身の体験を紹介しました。
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