2007年7月4日(水)「しんぶん赤旗」
病院の病床数が38万床から15万床に減らされる?
〈問い〉 志位委員長は演説会で、病院の病床数が38万床から15万床に減らされようとしている、とのべられましたが、これは、政府の政策、あるいは法律で決められていることなのでしょうか。まったく不当なことですが、どのようなことか教えてください。(愛知・一読者)
〈答え〉 志位和夫委員長が、名古屋の演説会で話した「38万床から15万床への病床削減」とは、昨年強行された医療改悪法に盛り込まれている、「療養病床」の削減のことです。
病床には、急病やけがの人が入院する「一般病床」(約90万床)、精神疾患の人が入院する「精神病床」(約35万床)、長期療養を必要とする人が入院し、おもに高齢者が利用している「療養病床」などがあります。現在、「療養病床」は医療保険適用の「医療型」が25万床、介護保険適用の「介護型」が13万床、あわせて38万床ありますが、自公政権は昨年強行した医療改悪法で、2012年までに介護型を全廃することを決め、さらに、医療型を10万床削減する計画を立てています。
ねらいは、公的医療保険に使われるお金=医療給付費の削減です。政府は、療養病床の23万床削減で「4000億円の医療給付費を削減」することや、「在宅」で最期を迎える人を2倍化することで「5000億円の医療給付費を削減」することを試算しています。国の財政負担や大企業の保険料負担が含まれる医療給付費を徹底的に減らすため、患者の“病院追いだし”をすすめようというのです。
昨年の法案審議時、この改悪には、「病床がなくなっても、在宅に戻れない人はどうなるのか」「このままでは介護難民、医療難民が大量に発生する」など、与党推薦の参考人からも異論が噴出しました。法案強行後も、医師会・病院会などの医療団体は軒並み「反対」を表明。共同通信の全国市区町村長アンケートでも、自治体首長の6割が「反対」をしています。改悪法で決められたのは、「介護型」病床の「2012年までの廃止」だけで、「23万床削減」というのは、いまだ机上の計画にすぎません。日本共産党は、幅広い住民、病院関係者、自治体当局などと力をあわせ、必要な病床をまもる共同を広げます。
なお、民主党も、“日本の病床数は多すぎる”とし、「一般病床」を26万床、「療養病床」を11万床、「精神病床」を7万床、合計44万床を削減することを、政策にかかげています(「民主党医療制度改革大綱」06年4月12日)。(谷)
〔2007・7・4(水)〕