2007年7月7日(土)「しんぶん赤旗」

主張

盧溝橋事件70年

侵略の責任に向き合ってこそ


 中国への全面侵略戦争の発端となった一九三七年の盧溝橋事件から今日で七十年を迎えます。

 盧溝橋事件は、三一年の「満州事変」(柳条湖事件)いらい中国を侵略していた日本軍が、中国軍が布陣するすぐそばで夜間軍事演習を強行し、なにものかが日本軍に向けて発砲したといって中国全面侵略を推し進める口実にした事件です。このあと日本軍は中国奥深くまで一気に侵攻し、国土を奪い、ぼう大な数の命を奪いました。

 いま必要なのは、中国全面侵略の歴史的事実と正面から向き合い、日本を二度と「戦争をする国」にしないための教訓にすることです。

「靖国」派の歴史わい曲

 近年、日本の侵略戦争と植民地支配を正当化する「靖国」派が、「満州事変」でも「南京事件」でもあれこれの「事実」をあげつらって侵略そのものがなかったかのように言い立てています。盧溝橋事件についても、中国の謀略だったとか日中双方に責任があるかのように言い出しています。しかし、日本が中国を全面侵略するなかで起きた事件であるという核心的事実をごまかすための議論であることは明白です。

 そもそも日本軍が北京郊外という中国の中心部に布陣して軍事演習していたことが大問題です。日本が布陣していなければもともと事件は起こるはずのないものでした。

 安倍首相は「北清事変議定書によって軍隊がいることを認められた」(昨年十月五日衆院予算委員会)とのべましたが、これは事実の露骨なねじまげです。

 一九〇〇年の義和団事件(北清事変)のあと出兵八カ国と中国が結んだ「議定書」による駐兵権は、北京と港の間の「自由交通の維持」のために特定の地点に駐兵するというきわめて限定されたものです。とりきめをたてに、日本軍が一方的に軍事行動を行い、発砲があったからといって侵略拡大の口実にしたのは正当化できない蛮行です。

 「発砲」が誰によって行われたかは不明ですが、それでも現地の日本軍と中国軍は、局地的事件として処理するため停戦協定を結びました。ところが当時の天皇制政府と軍部が協定をほごにし、すべて中国側の「計画的武力抗日」だと決め付け、朝鮮駐留の軍隊や「満州」の関東軍、さらに日本本土から大部隊を送り込み、全面侵略へと突き進んだのです。政府と軍部が盧溝橋事件を利用して全面侵略を始めた事実は明白です。

 歴史を偽り否定することは、断じて許されることではありません。中国をはじめアジアの国々への侵略の誤りを認め反省することは、戦後日本が国際社会に仲間入りするための原点です。日本は侵略と植民地支配の正当化をやめ、侵略の責任と反省を明確に表明すべきです。

「戦争する国」許さず

 重大なのはこうした歴史のわい曲や偽造が、日本を海外で「戦争をする国」に変える野望と結びついていることです。「靖国」派は、侵略戦争を正当化することによって、自衛隊の海外軍事活動をやりやすくする露払いの役割を果たしているのです。

 「靖国」派で固めた安倍内閣が、憲法九条を改悪して、日本が米軍とともに海外での軍事行動に乗り出そうしていることにアジアと国際社会は懸念を強めています。侵略戦争を正当化する策動を許さず、安倍政権に参議院選挙で審判を下そうではありませんか。侵略戦争に一貫して反対した日本共産党の前進は「靖国」派への痛烈な批判となります。



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