2007年7月7日(土)「しんぶん赤旗」
代用監獄 日本だけなの?
〈問い〉 日本の代用監獄=留置場は、いまや世界でもまれなもので、拷問禁止の世界の流れに反するものと聞きました。本当ですか? なぜ、それが続いているのですか?(群馬・一読者)
〈答え〉 おっしゃるように、逮捕した人を留置場に長期間拘束しておく「代用監獄」制度は、世界でもまれなものです。
逮捕された人も、裁判で判決が確定するまでは無罪と推定されますから、可能なかぎり人権が尊重されます。国際的な基準では、捜査(取り調べ)と身体の拘束とは分離されるのが常識になっています。
日本でも、法律では警察が取り調べに使える時間は48時間が限度で、それを超えたら身柄を検察庁に送って、そこから身柄の拘束をつづけてもよいかどうか裁判所の判断をうけることになっています。裁判所が拘束をつづけてもよい(勾留)と決めたら、身柄は法務省の管轄である拘置所へ移すのが原則です。
ところが、拘置所のかわりに警察の留置場にひきつづいて拘束してもよいというのが「代用監獄」の制度で、百年近く前からほとんど改善されずにつづいてきました(昨年から監獄が刑事施設と改称されましたが、「ダイヨウカンゴク」という通称は今もひきつづき使われています)。
その代用監獄で、現在もおこなわれているのが、夜中までの取り調べ、机をたたいたりしての脅迫、家族がお前を犯人だといっているなどというウソまでつかっての自白強要から、鹿児島の選挙違反事件であったような「踏み絵」(書いてあったのは「字」ですが)の強要まで、まさに「拷問」といってよい「取り調べ」が横行しています。
そのため国連拷問禁止委員会はこの5月、日本政府にたいし判決が確定する前の被逮捕者の拘束について、国際的な最低基準に適合するよう即効的な手段をとることを求め、警察留置場の使用を制限する具体的な法律改正を求めるきびしい勧告をだしました。
この不当な代用監獄の制度がつづいているのは、警察が、証拠にもとづいて処理するという人権を尊重した合理的、近代的な捜査手段をとらず、いまなお被疑者の自白を求めることを中心にした便宜的な捜査手法に固執しているからです。
これを速やかに改め、国連拷問禁止委員会の勧告を政府がただちに実施することが強く求められます。(規)
〔2007・7・7(土)〕