2007年7月7日(土)「しんぶん赤旗」
「政治とカネ」どこが透明?
「改正」提案の公明副代表
与党が提出した「改正」政治資金規正法が自民、公明両党の賛成多数で成立しました。ところが、一般紙も、「抜け穴だらけ」「カネの流れ把握困難」と指摘するほどのザル法です。公明党は「政治資金の透明性向上」(「公明新聞」六月二十九日付)、「公明党提示の骨子案を自民党が受け入れたもの」(同三十日付)と“自慢”していますが…。
政党支部に「付け替え」で
資金管理団体 事務所費“0”
「改正」規正法は、政治家個人の資金管理団体について、経常経費のうち人件費を除く五万円以上の事務所費や光熱水費などに新たに領収書を義務付けるというもの。日本共産党は、与党案は人件費を除外したうえ、ほかの政治団体に付け替えたり、五万円以下に細分化することによって実態を隠すことができるとして、反対しました。
実際、「改正」案の提案者だった公明党の東順治副代表(衆院議員)の政治資金をみてみると―。
東氏の資金管理団体「ビジョン21」は、福岡市内の民間ビルに事務所を置き、二〇〇四年、〇五年とも十一月に政治資金集めパーティーを開催、〇五年には同氏が支部長の「公明党衆議院比例区九州第3総支部」に七百十万円の寄付を行うなど、活動実態があります。
ところが、「ビジョン21」は、〇四年、〇五年とも、事務所費、光熱水費、人件費の支出がいずれもゼロです。
一方、「ビジョン21」と同一場所に事務所を置く「第3総支部」は、〇四年、〇五年とも千七百万円を超す経常経費の支出がありながら、領収書が必要な政治活動費は〇五年の「調査研究費」三万六百九十九円の支出があるだけ。
同一場所に事務所を置き、領収書のいらない経常経費は政党支部で、領収書の必要な政治活動費は資金管理団体で、と分担していた構図が浮かび上がります。
六月二十八日の参院政治倫理・選挙特別委員会で日本共産党の井上さとし議員が、この問題をとりあげ、「資金管理団体の事務所費、光熱水費、人件費を政党支部に付け替えているのではないか」とただしました。東氏は「事務所費は総支部として収支の報告をしている。よってビジョン21では、出てこない」と「付け替え」の事実を認めました。
これは、「別の政治団体に付け替えれば、チェックのしようがない。現在より資金の流れが分かりにくくなる可能性がある。バケツの底が抜けている状態だ」(岩井奉信・日大法学部教授=「東京」六月三十日付)という指摘そのものです。
公明新聞四日付は、「奮闘した公明党 通常国会を振り返って」という記者座談会で、「今回の正(ママ)規法は一歩前進だ」としていますが、東氏流の政治資金処理を行えば、透明性向上にはなりません。
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