2007年7月10日(火)「しんぶん赤旗」
税苦
この6年 庶民5兆円増 大企業・資産家4兆円減
その上、消費税増税とは
庶民に五兆円の増税、大企業・大資産家に四兆円の減税―この六年間に小泉・安倍両内閣がすすめてきた税制の実態です。国民に押し付けた増税分が、そっくり大企業・大資産家に回った形です。そのうえ、安倍自民・公明政権は消費税増税まで計画。「苦しい庶民の首をさらに絞めるのか」と怒りを呼んでいます。
小泉内閣(二〇〇一年四月発足)と安倍内閣(〇六年九月発足)が決めた庶民への増税は、五兆円を超します。所得税と住民税の定率減税の半減(〇六年実施、約一兆七千億円)、廃止(〇七年実施、約一兆七千億円)などです。
一方、大企業・大資産家減税は、四兆円を超します。大きな設備を持つ大企業ほど恩恵がある減価償却制度の見直しによる減税(約七千億円)、一部の高額所得者を優遇する証券優遇税制の延長(株式配当・譲渡益への減税約一兆円)などです。減価償却制度の拡充や証券優遇税制などは民主党も求めてきました。
定率減税の廃止と高齢者の年金課税強化は、基礎年金の国庫負担割合を三分の一から二分の一に引き上げる財源(約二兆七千億円)を確保するためというのが公明党の公約(〇三年総選挙)でした。ところが、実際には増税による二兆八千四百億円の増収分(住民税は除く)のうち年金財源に回ったのは必要額の五分の一の約五千百億円。“残りは消費税増税で”という議論が与党内では盛んです。
民主党も「(消費税率について)将来は上げる可能性は十分ある」(鳩山由紀夫幹事長、六月二十五日の講演、「読売」同二十六日付)という立場です。
日本経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は、大企業減税(法人税減税)の財源として消費税率引き上げを求めています。
「“年金財源のため”と定率減税廃止でうそをいい、“財源が足りない”からと、こんどは消費税増税なんて」と怒る消費税をなくす全国の会の杵渕智子事務局長。「結局、庶民増税分は大企業や大金持ち減税に回っちゃうんだから」「(消費税増税は)きちんと選挙で国民の信を問うべきよ」と言います。
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