2007年7月10日(火)「しんぶん赤旗」
米「平和と正義のための連合」が総会
世論を運動に 討論 熱く
イラク撤退へ 草の根の共同探る
全米最大の反戦・平和運動の連合体「平和と正義のための連合」の全国総会が、六月二十二日から二十四日までシカゴで開かれました。イラク撤退を求める世論が多数になった今、草の根で市民の行動をどう引き出すか、熱心な議論が交わされました。(シカゴ=鎌塚由美 写真も)
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十八カ月ぶりの全国総会には、三十五州の百八十四組織から約三百人の活動家が参加。最終日には、十月に全国六―八都市での統一デモを行うことを決め、「(イラク)開戦以来最大規模のデモを成功させよう」(ジョージ・マーティン執行委員)との意気込みが示されました。
今総会の中心テーマは「世論を運動に転化させよう」(講演したトム・ヘイデン元カリフォルニア州上院議員)でした。
「今は、われわれに勢いがある」と話すのは、ニュージャージー州から参加したマデリン・ホフマンさん(ピース・アクション事務局長)。「前回総会では、戦争がいかに間違いかを国民にどう訴えるかを議論していた」と振り返ります。
この間、ブッシュ大統領の支持率は低下。撤退を求める世論が過半数になり、昨年十一月の中間選挙で与党・共和党が敗北しました。
中間選挙の結果は反戦運動を勢いづけましたが、活動家が戦争を容認する新議会に不満を感じていることも浮き彫りになりました。
全体会合でパネリストを務めたジョン・キャメロン氏(イリノイ州公務員労組)は「今回の戦争ほど、(共和、民主の)超党派が後押しする戦争はない」と指摘。追加予算を承認するな、と「連邦議員への働きかけ」を行ってきた活動家は、分科会で地元議員事務所への働きかけを交流し、九月に再開される議会への働きかけをいっそう強めることを確認しました。
まだ参加していない地元の市民の参加をどう勝ち取るか、全体会合の討論では、貧困地域での活動家、退役軍人、移民問題活動家らがパネリストとなり、戦争と国内問題を結びつけての取り組みが提起されました。
署名で対話
「地元の声」を高める取り組みについての分科会では、各地での粘り強い草の根の活動を交流。イラク撤退の住民投票を組織したウィスコンシン州の活動家は「住民投票のための署名集めは、各戸をまわって対話する格好の手段でもある。草の根の力を発揮する機会。ボランティアが集まり、今後の活動のベースにもなる」と指摘。
ペンシルベニア州の活動家は「戦争とリンクさせることで医療問題、環境問題に取り組む住民との共同が広がる。行動で示された反戦世論は政治家への大きなインパクトとなる」と語りました。
不偏不党で
「選挙プロセスに反戦の声をどう反映させるか」と題した分科会では、不偏不党の非営利団体として、「多数派の反戦世論をどう反映させるか」を考えました。
前回総会では、二〇〇六年の中間選挙に向けた民主党支持の是非をめぐる「熱い、感情的な議論があった」といいます。今回は、「非営利組織は、特定政党を支持しない」ことを前提に、政党選びではなく、戦争終結のための運動論に議論が集中しました。反核活動家のジャクリーン・カバソさんは、「運動が成熟してきていると感じる」と評しました。
総会では、「イラクからの即時撤退」を掲げるキャンペーンのなかで、▽議会の戦争支持をやめさせる▽兵士勧誘の阻止、兵役拒否や帰還兵、兵士家族の支援▽戦争の経済的影響、軍事費に光をあてる▽〇八年の選挙で反戦・正義の課題を提起する▽地元組織の発展▽戦争成り金たちに挑戦する▽全国規模の教育プログラムを行う―ことを並行的に追求することを確認しました。
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