2007年7月13日(金)「しんぶん赤旗」
これで「安定雇用」増?
第一声 安倍首相のあきれた自慢話
雇用の実態まるでみえず
安倍晋三首相は、十二日の参院選第一声で、「フリーターといわれる三十五万人の方々が安定した定職につくことができた。私は二十五万人といっていたが、三十五万人になった」と“自慢”してみせました。これは、雇用の実態がまるでみえていない話です。
首相があげた三十五万人という数字は、厚労省などがすすめていた「フリーター二十五万人常用雇用化プラン」の結果のことのようです。その中身は、とても首相が誇れるようなものではありません。従来から行っているハローワーク(公共職業安定所)を通じた就職が三十一万三千人で九割を占めています。若者向け就職支援事業のジョブカフェに至っては、五十二億五千万円の予算(経産省分、二〇〇六年度)を〇七年度に全廃してしまいました。
しかも、「安定した定職」とはほど遠いものです。首相がいう三十五万人とは「常用雇用」のことで、四カ月以上の雇用にすぎず、派遣や請負や長期パートも含まれます。就職後にどうなったかの調査もありません。
実態は、日本共産党の志位和夫委員長が第一声で指摘したように、パート・アルバイトや派遣などの非正規から正規労働者になれた人の三十一万人より、正規から非正規労働者になってしまった人の四十三万人の方がはるかに多くなっています。(総務省「労働力調査詳細結果」二〇〇七年一―三月期)
非正規雇用から正規雇用になれた人は、安倍政権になる前の〇五年同期の三十九万人から、安倍政権になって三十一万人に減少、不安定雇用の増加はとどまるところを知りません。
規制緩和の反省もせず
これまで不安定雇用を増大させてきた自民党政治の雇用の規制緩和・無法化の反省もせず、若者を不安定雇用に突き落とす現実から目をそむけることは許されません。(吉川方人)
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