2007年7月14日(土)「しんぶん赤旗」
参議院選挙
消費税増税 大争点に
首相はごまかしやめ国民に審判をあおげ
志位委員長が記者会見
日本共産党の志位和夫委員長は十三日、遊説先の奈良市で記者会見し、消費税増税問題が参院選の大争点に浮上したとのべ、この問題の重大性を解明し、日本共産党の立場を表明しました。
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一、消費税増税問題が、いよいよ選挙戦の大争点の一つに浮上してきました。
熱い問題となったきっかけは、安倍首相が民放番組で「消費税を上げないとは一言も言っていない」とのべたことにありました。それを取り繕おうと、「消費税を上げないですむ可能性がある」といっています。しかしそれは、裏を返していえば、「上げる可能性がある」ということにほかなりません。
一昨日の日本記者クラブ主催の党首討論会で、私は、日本共産党は消費税引き上げには絶対に反対だが、「上げる可能性がある」なら、事前に参院選で審判を仰ぐべきであり、その意思があるかとただしました。
首相は、私の質問に答えず、「歳出削減と経済成長で、消費税を上げなくても財政再建の目標に到達できる可能性がある」としつつ、「到達できないケースもある」とのべました。
そこで私は、昨日のTBS系テレビの党首討論会で、「到達できないケースもある」ということは、「消費税を上げる可能性があることですね」とただしました。
首相は、「到達できないケース」があることを認め、「足りない部分については税制改革のなかで議論していく」とのべました。私はさらに、「税制改革のなかには消費税増税も含まれるのか」とただしましたが、答えはありませんでした。
これらの一連の論戦のなかでの首相の発言をみれば、与党が、選挙が終わった後の、今年秋の税制改革において、消費税増税を選択肢としていることは疑いありません。しかし、首相は、わが党の重ねての追及にたいしても、そのことをうやむやにしたまま、選挙をやりすごそうとしています。
一、首相はまた、マスメディアの「参院選の争点にしないのか」との質問にたいし、「いずれにせよ衆院の任期は残り二年と少し。税制改革の姿は当然、おそらくそれは次の衆院選で(争点となる)ということだ」と答えています。
これは、今年秋の税制改革で消費税増税を決めても、その後の衆院選で国民の追認を受ければよいとする考えを示したものにほかなりません。
一、消費税増税のような国民生活に深刻で重大な影響をあたえる施策を、国民の審判を事前に仰ぐことなしに決めることは、国民主権と税制民主主義からみて絶対に容認できないものです。
もとより日本共産党は、社会的弱者に重くのしかかり、貧困と格差をさらに広げる消費税増税に絶対に反対です。しかし、首相が「消費税を上げる可能性がある」と考えているなら、この問題でのごまかしをやめて、国民にそれを正直に語り、この参院選で事前に審判を仰ぐべきだと強く求めます。
一、消費税は、一九八九年に導入されたときも、九七年に増税されたときも、一度も事前に審判を受けたことがない税金です。生まれも育ちもすべて公約違反の税金です。これを三度も繰り返すことは絶対に許されません。
しかも事態は、差し迫っています。わが党は、消費税増税の危険性について、二〇〇三年の衆院選、〇四年の参院選、〇五年の衆院選で繰り返し警告してきましたが、今回ほど差し迫ったときはありません。参院選直後の秋の税制改革において消費税増税が現実に決められる危険性が迫っています。
参院選で消費税増税を許さない国民の審判を下すことがいよいよ重要となっており、選挙戦で大いに訴えていきたいと考えています。
メディアも世論も
消費税問題を参院選の争点にすべきだとの声はマスメディアの世論調査でも多数です。
「読売」十三日付は「消費税上げも争点に 首相発言で浮上」と報道。同紙の参院選継続世論調査では有権者が重視する政策・争点として「消費税問題」は42・7%で、トップの「年金」に次いで二番目となっています。
また、「朝日」十日付世論調査では「消費税を含む税制改革を参院選の争点にしてほしいか」について「争点にしてほしい」は72%で、「そうは思わない」13%を大きく上回っています。
神戸新聞「社説」(十二日付)は、消費税をめぐる安倍首相の発言に「はっきりしてほしいと願う人は少なくないだろう」と指摘。「共産党の志位委員長らがあらためて見解を求めたが、結局、税率アップについては明言を避けた」と安倍首相の姿勢を問題にしています。
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