2007年7月16日(月)「しんぶん赤旗」
非核化へ履行の一歩
北朝鮮核施設の稼働停止
18日から「次の段階」協議
北朝鮮が十四日、寧辺の核施設を稼働停止させたことにより、朝鮮半島の非核化で合意した六カ国協議共同声明(二〇〇五年九月十九日)が初めて履行の第一歩を踏み出しました。十四日には北朝鮮への見返りとなる重油支援の第一便も到着しており、共同声明が履行の原則としている「行動対行動」が具体的に実行された形です。
北朝鮮北西部の寧辺には、五千キロワット黒鉛減速炉や使用済み核燃料棒の再処理施設など五つの核施設が集中。一九九四年の米朝枠組み合意では、これら五施設が停止・凍結されましたが、北朝鮮は二○○二年十二月、軽水炉建設の遅れなどを理由に黒鉛減速炉の再稼働を宣言し、翌年、再稼働が確認されました。
六カ国協議は今年二月十三日、共同声明履行の初期段階措置として、五つの施設の稼働停止・封印と、見返りとして北朝鮮への五万トンの重油支援で合意していました。
寧辺の核施設では、毎月約七百五十グラムのプルトニウム生産が可能とされます。〇二年に稼働を再開して以来、核兵器五、六発分のプルトニウムを抽出したと推定されています。稼働停止により、プルトニウム抽出はひとまず停止されることになりました。
十四日に寧辺入りした国際原子力機関(IAEA)の査察団は稼働停止を確認した後、封印措置を行います。IAEAの封印シールを張り、監視カメラを設置するなど、二―三週間かかるとみられます。
二月に合意した初期段階措置は「北朝鮮はすべての核計画(抽出済みのプルトニウムを含む)の一覧表について五カ国と協議する」と明記。さらに、初期段階の「次の段階」について「すべての核計画についての完全な申告の提出」と「すべての既存の核施設の無能力化」と定義されています。
十八日から北京で再開される六カ国協議の首席代表会合では、これらの具体化が話し合われます。北朝鮮の完全な核放棄と非核化のためには、〇二年に北朝鮮の核問題が再燃するきっかけとなった高濃縮ウラン計画や寧辺以外の核施設の有無などを明確にする必要が出てきます。
IAEAのエルバラダイ事務局長は十二日にソウルで記者会見した際に、「核施設の封印など初期段階措置は順調に進むと楽観しているが、問題は初期段階の次の段階だ」と指摘、「長いプロセスになるだろう」と述べています。(面川誠)
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