2007年7月17日(火)「しんぶん赤旗」
新潟県中越沖地震
原発直近 不安増す
想定外の揺れ対策見直し必要
解説
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またも、原発直近で大きな地震が起き、耐震設計で想定されている揺れを上回る揺れが原発を襲いました。柏崎刈羽原発(東京電力)の周辺には多くの活断層が存在していますが、今回の場所での地震発生は予測されていませんでした。
今年三月には、北陸電力志賀原発のすぐ近くを震源とする能登半島地震が発生。観測された地震記録を解析した結果、長周期の揺れの強さが、設計上想定されている揺れを大きく上回っていたことが明らかになりました。この地震も、発生が予測されていない場所で起きました。
東京電力のホームページでは、原発の地震対策として、「直下に地震の原因となる活断層がないことを確認しています」として、原発と活断層の位置を示す地図を示しています。この地図には、今回地震を起こした活断層は記されていません。
それだけではなく、政府の地震調査委員会が発表している「長岡平野西縁断層帯」も正確に表示されていません。二〇〇四年十月に同委員会が発表した長期評価では、この断層帯が同時に活動した場合は、マグニチュード8級の地震が発生する可能性があると指摘。今後三十年間に地震が発生する可能性は「やや高いグループに属する」と評価しています。
しかし、東京電力は、原発建設当時のデータをもとにした耐震設計を根本から見直す姿勢を示していません。
相次いで原発直近で起きた大きな地震の発生は、日本のすべての原発について地震対策の抜本的な見直しの必要性を示しています。(前田利夫)