2007年7月20日(金)「しんぶん赤旗」
中越沖地震・柏崎刈羽原発
揺れ 設計の3.6倍も
全7基で想定上回る
波形データが大量消失
東京電力は十九日、柏崎刈羽原発における新潟県中越沖地震の観測データ六十三台分が消失したと発表しました。また、残った記録から、同原発の全七基で、耐震設計の際の想定を上回る揺れが観測され、2号機では設計値の約三・六倍の揺れが観測されました。
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同原発では、もともと1、5、6号機に計六十七台の地震計を設置していましたが、二〇〇四年の新潟県中越地震をふまえ、全七基に計三十台の新地震計を設置しました。今回、消失したのは、六十七台の既設地震計のうち六十三台分の本震の波形データです。最大加速度の値や余震のデータは保存されているといいます。
東電によると、データ消失の原因は、観測装置から通信回線を経由して東京のコンピューターシステムに転送する際に時間がかかり、観測装置に保存されたデータを転送する前に、新たな余震データによって本震データが上書きされたためだといいます。
同様のデータ消失が、今年三月の能登半島地震の際に志賀原発(北陸電力)で確認されていたことから、柏崎刈羽原発では、観測装置の更新を順次進めている途中だったといいます。
これまで、設計値と観測値が明らかにされていたのは、1、5、6号機の原子炉建屋(最下階)のデータでした。今回、2、3、4、7号機のデータが発表されました。このうち2号機の東西方向は、設計値が一六七ガルなのにたいして、観測値は六〇六ガルを記録しました。
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ガル 加速度の大きさを表す単位。地震の揺れによって物体に加わる力の大きさに対応します。地球の重力の加速度は九八〇ガル。九八〇ガル以上の上下動が生じると、地上の物体が空中に放り出されます。
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