2007年7月21日(土)「しんぶん赤旗」
住民税増税に言い訳の政府広報
五つの大ウソ
志位委員長が批判
日本共産党の志位和夫委員長は二十日、遊説先の仙台市内で記者会見し、住民税増税問題が参院選の重大争点に浮上するなか、十九日の新聞各紙に折り込まれた政府広報「あしたのニッポン」第二号が、「税源移譲・定率減税について」と題して、増税への批判に対する言い訳を掲載していることについて、「ウソだらけだ」ときびしく批判し、「五つの大ウソ」を指摘しました。
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第一は、「定率減税は…景気対策として導入された暫定的な措置」(政府広報)というウソです。
志位氏は、定率減税が、もともと「個人所得課税及び法人課税の在り方についての抜本的な見直しを行うまでの間の措置として…実施する」「恒久的な減税」(一九九九年一月十二日閣議決定)であり、法律の第一条にも明記されていると指摘。「ですから、税制の抜本的見直しの前に廃止するのは、法律違反です。『恒久的減税』といっていたものを『暫定的措置』というのは大ウソです」とのべました。
第二は、「経済状況の改善を踏まえ…段階的に廃止する」(政府広報)としていることに関するウソです。
志位氏は、政府広報が「経済状況の改善」を示している指標として都合のよいものばかりをあげているとして、「政府広報は最も重要な指標を抜かしている」と指摘。雇用者報酬は九七年度二百八十兆円から〇六年度二百六十三兆円に減る一方、法人企業経常利益は九八年度二十一・二兆円から〇五年度五十一・七兆円へと増え、資産家の受取配当(株の利益)も九七年度二・二兆円から〇五年度七・四兆円へと増加していることをあげ、「『経済状況が改善』しているのは大企業や大資産家であり、一般国民の家計は改善していないという実態を隠している」と指摘しました。
第三は、「増収分の多くは、少しでも国の借金を増やさないようにするために使われ、一部は、基礎年金の国庫負担分として使われています」(政府広報)という言い訳です。
志位氏は、二〇〇三年十二月の「与党税制改正大綱」では、定率減税の縮減・廃止で「国庫負担割合の段階的な引き上げに必要な安定した財源を確保する」と明記していたことをあげ、「『年金財源のため』といいながら、いまになって、『国の借金を増やさないようにするため』と言い訳している」と批判。「国庫負担に『一部』をまわすといっても、それは五千百億円で増税分のたった二割にすぎない。残り八割は、大企業・大資産家への減税財源として流用された」と指摘しました。
第四は、「住民税が増えた分のうち、定率減税の廃止による影響は一割程度」(政府広報)というウソです。
志位氏は、「これは、所得税の定率減税廃止の分を計算に入れていない」と指摘。住民税増加額三兆四千億円のうち、住民税の定率減税廃止分は四千億円だが、実際には、所得税の定率減税廃止分一兆三千億円が、今年は「住民税の増加」の形で現実化しているとのべました。「住民税増加分の三兆四千億円のうち、半分の一兆七千億円は、定率減税廃止の影響による増税となる。五割が増税分にもかかわらず、政府広報は一割といっている。まったくの大ウソだ」と批判しました。
第五は、「所得税の減と住民税の増を合わせた負担は基本的に変わりません」(政府広報)というウソです。
志位氏は、「これは『税源移譲』に限った話で、定率減税廃止の影響を考慮していない」と指摘。その「税源移譲」に限っても、昨年より年収が減った方は増税となり、数百万人規模で増税になっていることにまったくふれていないと批判しました。
その上で志位氏は、「事もあろうに、政府広報で、税金を使って五つの大ウソを国民におしつけるのは許せないやり方だ。ただちにやめるべきだ」と強く抗議。「いかに住民税増税への国民の怒りにたいし、政府・与党がおびえているかのあらわれだ。住民税増税は今からでも中止すべきであり、増税分は戻し税方式で国民に返すべきだ」とのべました。
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