2007年7月21日(土)「しんぶん赤旗」
パパクォータ制とは?
〈問い〉 参院選政策の「安心して子育てできる社会にするために、くらしの安定と経済的保障を充実させます」という項に、「パパクォータ制度」の導入をすすめるとありますが、どんな制度ですか?(埼玉・一読者)
〈答え〉 パパクォータ(QUOTA=割り当て)制は、育児休業の一定期間を男性に割り当てる制度です。1993年に世界で初めてノルウェーでスタート、95年にスウェーデンに広がりました。これらの国では、パパクォータ制が、女性の働く権利を保障すると同時に、育児に携わる父親の権利を保障する制度として歓迎され、定着してきています。
ノルウェーの育児休業は年々期間が伸び、54週間(賃金8割保障)または44週間(同10割保障)になっています。そのうち6週間はパパクォータ制によって、父親に割り当てられています。父親が育休を取らなかった場合には、育休期間が短くなる仕組みです。制度開始の翌94年の男性の取得率は40%でしたが、いまでは90%に増えています。
スウェーデンはパパ・ママ・クォータ制です。育児休業の480日間(390日間は賃金8割保障、残りの90日間は1日60クローナ=約1100円=保障)のうち、父親、母親にそれぞれ60日間割り当てられています。
日本の育児休業制度は、原則として子どもが1歳(保育所に入所できないなどの場合は1歳6カ月)に達するまで、男女どちらでも取得できます。一人目の出産で女性の7割が退職しており、女性でも取得する人は少ないのが現状です。しかし男女で比べると、女性は72・3%が取得しているのに対して、男性はわずか0・5%です。
男性が取りにくい背景には、育休取得による昇進・昇格での不利益な扱いや、賃金保障が4割(10月から5割)と低いこと、男女の賃金格差のもとでは男性が取った方が家計にひびくこと、職場や社会の理解の不十分さなどがあります。
日本共産党は今回の参院選挙政策で育休について、男女が安心して取れるように、所得保障を6割に増額、派遣・パート労働者への厳しい条件の見直し、中小企業への支援、パパクォータ制の導入などをすすめることを提案しています。パパクォータ制によって、父親の子育ての権利を保障するとともに、家族の一員としての責任が果たせるようにしたいと考えています。あわせて政策では、男性も女性も仕事と子育てが両立できる働き方にするために、長時間労働・男女賃金格差の是正などを提案しています。(万)
〔2007・7・21(土)〕