2007年7月23日(月)「しんぶん赤旗」

餓死 11年で867人

背景に雇用破壊・生活保護抑制

95年以降急増


 北九州市をはじめ各地で生活苦から餓死する人が相次ぎ、貧困の深刻さを示すものとして衝撃を与えていますが、日本では毎年、百人近くが餓死していることがわかりました。


 厚生労働省の直近の調査で、二〇〇五年には八十二人(男性七十人、女性十二人)が餓死していました。〇四年には、七十一人(男性五十七人、女性十四人)、〇三年には九十七人(男性七十七人、女性二十人)となっています。

 厚労省によると、調査は死亡診断書に「餓死」と記されたものを集計したもの。餓死状態で発見されたさい、死亡診断者に別の病名がつけられる場合もあり、実態はさらに多いとみられ、「厚労省調査の数字は氷山の一角」と研究者は指摘します。

 餓死者は一九九五年を境に急増します。前年まで二十人台だったのが、九五年に六十一人となり、以後毎年、百人近くが餓死しています。〇五年まで十一年間の餓死者は八百六十七人にのぼっています。

 財界と自民党政府は、八五年の派遣法の成立、九六年の改悪などと労働法制を改悪、一方で大規模リストラを繰り返し、非正規雇用が急増、九五年に一千万人を超え、〇六年には千六百七十七万人と増え続けています。完全失業率も、それまで2%台だったのが九五年には3%台になり〇六年には4・1%になっています。

 働いても生活保護水準以下の生活しかできないワーキングプアの増大が社会問題として噴出しています。厚労省は、生活に困った人の最後のセーフティーネットである生活保護について申請拒否や追い出しなど排除策をとり、予算も削減してきました。この結果、生活保護を必要とする人のうち生活保護をとっているのは二割前後(捕捉率)との試算もあり、大半が最低生活水準以下の生活を余儀なくさせられています。

 財界と政府が一体となってすすめてきた雇用・賃金破壊と棄民政治が多くの人々を餓死に追いやっています。

 参院選挙で日本共産党は、「ストップ貧困」を主張し、雇用政策の転換、生活保護制度の切り下げをやめさせ、憲法二五条の生存権が生かされる政治にするため、いっしょにたたかおうと訴えています。

グラフ

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