2007年7月24日(火)「しんぶん赤旗」
年金豊かに
共産党「3つの提案」
貧しい年金をどうする―参院選で年金制度問題が争点になるなか、日本共産党の「三つの提案」が注目されています。
低年金・無年金 解決は政治の責任
低年金・無年金の解決は、政治の大きな責任です。
国民年金は、満期の四十年間保険料を払い続けても、受け取る年金は月額六万六千円です。国民年金だけの受給高齢者は約九百十万人。その平均額は月四万七千円程度です。無年金者は現在六十万人とも百万人ともいわれてます。
自民・公明の与党は、二〇〇四年に改悪した年金制度を「百年安心」などと宣伝するだけで、低年金、無年金を解決する方策はありません。
そもそも、年金改悪は(1)国民の保険料負担は上げる(一七年度に厚生年金で収入の18・3%〈これを労使折半〉、国民年金で月一万六千九百円)(2)給付水準は下げる(二三年度に〇四年度比で15%一律カット)というものです。
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日本共産党の提案は、低年金・無年金の打開方向を明確にしています。
(1)緊急策 加入期間10年に短縮
無年金者を生み出す大きな要因は、年金受給条件の加入期間が「二十五年以上」と異例の長さであることです。こんな過酷な制度は諸外国ではありません。(別項)
二十四年六カ月、保険料を払い続けても、年金が一円ももらえないという「掛け捨て」になるしくみを、早く改善させるために日本共産党は加入期間を「十年」に短縮することを緊急策として提起しました。このための国庫負担は年間一千億円に満たない額です。
「年金保険料を二十五年も払う自信がない」と保険料支払いをあきらめる人もいるなか、加入期間短縮は、「保険料を払えば年金が戻ってくる」と年金制度への信頼回復にもつながります。
■各国の受給資格期間
日 本 …25年
アメリカ …10年
イギリス …10年
カ ナ ダ …10年
オーストラリア…10年
ド イ ツ …5年
スウェーデン …3年
フランス …3カ月
(2)抜本策 最低保障制度の導入
日本共産党は、全額国庫負担による「最低保障年金制度」の導入を提案しています。
これは、土台部分を国の責任でしっかりさせるもの。当面、月五万円からスタートします。その上に保険料に応じた給付をおこなう二階建ての制度です。(図)
最低保障年金は、欧州諸国の多くが導入しています。国連の社会権規約委員会は〇一年、日本にたいして“公的年金に最低年金を導入すること”を勧告しています。
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(3)財源 消費税に絶対頼らず
日本共産党は年金財源(最低保障年金分で約五兆五千億円)を消費税に頼る立場はとりません。
まず、現在の国の歳出の無駄を削減します。道路特定財源約六兆円の一般財源化、軍事費の削減(約六千五百億円)などです。一方で、大企業・大資産家への優遇税制を見直し、もうけ相応の負担を求めます。たとえば大企業の法人税率を十年前の水準に戻せば四兆円の税収増です。
政府・与党は、「年金財源のため」という口実で消費税増税を狙っています。民主党の財源案は「全額消費税」という立場です。これでは、消費税増税か、年金支給額の大幅引き下げか、の二者択一しかありません。
共感の声
「具体的で現実的な素晴らしい提案だ。大いに宣伝してほしい」(横浜市の男性)
「『年金受給資格を二十五年から十年に短縮する』というのは、非常に現実的な提案で、どの党も反対できないはずだ」(東京都の男性)
民主党案 解決遠く
民主党の「最低保障年金」案は、小沢一郎代表が「無年金の人まで最低保障年金を払うものではない」(十一日、党首討論)と述べたように、当面の無年金・低年金の解決にはなりません。
しかも、現行制度からの切り替えを順次おこなうため、最低保障年金が満額月六万六千円になるのは四十年先。これは松本剛明政調会長もテレビ(十三日のフジテレビ系「とくダネ」)で認めています。いま仮に導入されても一年目の年金受給者は四十分の一の月千六百五十円しか出ません。また、所得制限を設けるため、全員に「保障」できません。
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