2007年7月25日(水)「しんぶん赤旗」
産学連携 どう考える?
〈問い〉 日本共産党は学問研究と産業界との連携のあり方をどう考えていますか?(東京・一読者)
〈答え〉 大学が、産業界や地域社会と連携して教育・研究をすすめたり、研究成果をさまざまな方法で社会に還元するとりくみが近年、ひろがっています。
産学連携には、企業からの寄付で設ける講座や研究費を受け入れて行う受託研究、企業と提携して共同で行う研究などがあります。これによって大学がうけた民間資金は、国立大学だけで1913億円になります(05年度)。また、大学が地域振興のために自治体や地元企業と提携して技術開発にとりくんだり、学生のインターンシップを地域と協力してすすめるなど、連携のあり方が多様になっていることも特徴です。
今日の社会において、産業と学術が連携し、協力しあうことは、互いの発展にとって有益なことです。工学系などの分野では、生産現場の諸現象に精通することが研究に必要であり、さらに、その研究成果が生産にいかされるなど、相互に影響しあって発展しています。
同時に、大学における研究は自由な発想による真理の究明自体が目的であるのに対して、企業が行う研究は何よりも利潤の追求を目的にしています。そのために、「売れない研究」は敬遠されるなど、さまざまな問題が起こります。大企業の利潤追求に大学が追随するような連携では、教育や基礎研究など大学が担う本来の役割が弱められ、研究成果の秘匿や企業との癒着がうまれるなど、学術の発展に弊害を招きかねません。
日本共産党は、今度の「参議院選挙にのぞむ日本共産党の各分野の政策」の【15】「科学、技術の調和のとれた振興と、大学・研究機関の充実・発展をはかります」において、基礎研究を重視し科学、技術の調和のとれた発展をはかることを基本にすえて、産学連携の健全な発展をうながす四つの方向を提起しています。
(1)国からの一方的な産学連携のおしつけでなく、大学の自主性を尊重し、基礎研究や教育など大学の本来の役割が犠牲にされないようにする。
(2)企業との共同研究の際、学会などでの研究成果の公開が保障され、だれでもひろく使えるようにする。
(3)企業から受け入れた資金は、大学の責任で管理、配分することを原則とし、研究者と企業との金銭上の癒着をつくらない。
(4)産学連携を推進する国の事業(共同研究への補助など)は、地域や地場産業の振興にも力を入れ、中小企業の技術力向上への支援を拡充する。(充)
〔2007・7・25(水)〕