2007年7月27日(金)「しんぶん赤旗」
泣く泣く注文 断った
操業再開も 残る影響
中越沖地震で製造業者
新潟県中越沖地震で被害が大きかった柏崎市では、製造業への影響も大きいものがありました。大手自動車メーカーの部品を製造する「リケン」のグループ企業や取引先などが集中する柏崎機械金属団地などを訪ねました。(栗原千鶴)
|
同団地では、操業は再開されたものの、「直さないといけないところもあるが、とにかく機械を動かさないと」「機械は動きだしたが、納期が間に合わない注文を泣く泣く断った」という状況です。
人的被害も深刻です。震災から一週間たった二十三日には、地震時、リケンの下請け工場で発生した火災でやけどを負った従業員が死亡。リケン工場内でも、けが人が出ています。
刈羽郡総合病院の救急外来で負傷者受け入れに従事した看護師の女性は、リケン従業員の被災状況をこう証言します。「頭を打ったリケンの労働者が、目が見えない、気持ちが悪いと繰り返していた」といいます。また別の看護師も、リケンの下請け工場の労働者が「地震で起きた爆発で全身に熱傷を負い、肺には熱風を吸い込んでいた」と話しました。
リケン本社によると柏崎市内の二つの工場で二人が骨折をするけがを負い、グループ企業内でも「数名のけが人が出ていると聞いている」といいます。
従業員が地震後の工場内に出勤すると、背の高い不安定な機械が転倒していました。効率よく働けるように配置をかえることがあるため、機械にはキャスターがついていました。少しでも時間を無駄にしないために自分たちで動かすからです。 同工場の従業員は「操業日だったら何人死んだかわからない。大事故になっていただろう。機械は本来ならワイヤなどで固定することができる。人間を守ることを考えず、利益ばかり考えている証拠です」と地震対策をまともにやらない経営者側の姿勢に、怒りをあらわにしました。
■関連キーワード