2007年7月27日(金)「しんぶん赤旗」

東京都教委

「つくる会」教科書採択

都立中高一貫5校 市民団体が抗議


 東京都教育委員会は二十六日の定例会で、日本の侵略戦争を美化した「新しい歴史教科書をつくる会」の中学校歴史教科書(扶桑社)を、中高一貫校二校(来年四月開校)で、日本国憲法を敵視した公民教科書(同社)を、中高一貫校三校で使用することを採択しました。

 定例会は、来春開校の武蔵野地区、立川地区の中高一貫校二校で使用する歴史など十五教科の教科書と、小石川、桜修館の両中等教育学校、両国高校付属中の三校の中学三年生用公民教科書について協議。歴史、公民については、「つくる会」教科書を委員六人全員一致で採択しました。

 「『つくる会』教科書採択を阻止する東京ネットワーク」(山田朗代表)は同日、「『つくる会』教科書がなぜふさわしいのか、全く説明がなく、扶桑社の利害関係者である米長邦雄氏も採択にかかわるなど、採択手続きは不正だ」との声明を発表、都教委に採択の撤回を強く求めました。

 「つくる会」歴史教科書は日本の侵略戦争を美化し、「神武東征」などの神話を事実であるかのように記述。公民教科書は、戦前の大日本帝国憲法を称賛し、日本国憲法を敵視しています。

 「つくる会」教科書は、父母や教職員、歴史研究者をはじめ、内外から批判があがり、全国的にも採択率はごく少数にとどまっています。都教委は、中高一貫校や養護学校など都立学校で「つくる会」教科書の採択を続けています。

撤回を要求

全国ネット21

 子どもと教科書全国ネット21は二十六日、東京都教育委員会が都立中高一貫校で使用する歴史と公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を採択したことに抗議、撤回を要求する俵義文事務局長の談話を発表しました。

 談話は、「つくる会」教科書の採択は「政治的意図による暴挙」であると批判。「つくる会」は内紛を繰り返し、執筆者の多くが脱会していること、発行元である扶桑社自身がこの教科書について「各地の教育委員会の評価は低く、内容が右より過ぎ」ると認めていることを指摘し、「このような教科書をあえて採択したのは極めて無責任な行為」とのべています。



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