2007年8月1日(水)「しんぶん赤旗」
薬害肝炎 広く救済
名古屋地裁 国・企業に賠償命令
ウイルスに汚染された血液製剤を投与され、C型肝炎に感染したとして、東海地方に住む男女九人が、国や三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)など製薬三社を相手に総額六億五百万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が三十一日、名古屋地裁でありました。松並重雄裁判長は、フィブリノゲン製剤を投与された六人全員と、非加熱第九因子製剤クリスマシン、PPSB―ニチヤクが使われた三人のうち二人について、国、企業の責任を認め、計一億三千二百万円の賠償を命じました。
薬害C型肝炎をめぐる判決は四件目。第九因子製剤をめぐっては、三月の東京地裁判決が唯一企業の責任を認めていますが、国の責任を認定したのは初めて。フィブリノゲンについても、救済範囲を最も広く認めた昨年八月の福岡地裁判決を大きく上回る判断を示しました。
判決を受け、薬害肝炎全国原告団と同弁護団は「国と企業はただちに全ての被害者に謝罪し、全面解決に向けた協議を開始すべき」との声明を出しました。
松並裁判長は、フィブリノゲン製剤と第九因子製剤計三薬の有用性を認めましたが、いずれについても企業側は「適応外の患者への使用を防ぎ、患者の安全を確保するため、添付文書に肝炎感染の危険性を明確に記載しなければならなかった」と指摘。国には企業に表示をさせる義務があったとしました。
その上で、フィブリノゲンは国が新たに製造承認した一九七六年四月以降、クリスマシンも同様に同年十二月以降の責任を認定。PPSB―ニチヤクもクリスマシンと同時期を起点としました。
クリスマシンを投与された一人については、それ以前に輸血を受けた際に感染した可能性が高いとして、請求を退けました。