2007年8月2日(木)「しんぶん赤旗」

EUの連続11時間の休息時間とは?


 〈問い〉 EUが連続11時間の休息時間を設けていると聞きましたが、どんな内容ですか?

(大阪・一読者)

 〈答え〉 ヨーロッパ諸国は、労働時間規制のひとつとして、24時間(1日)につき連続11時間の休息時間を設けることを法律で定めています。

 これは、1日の労働が終わり、次の労働がはじまるまでのあいだに11時間の休息を連続して設けることを意味します。

 交代制勤務や変形労働時間制の場合でも、適用されます。

 たとえば、深夜12時に仕事が終われば、次の日の仕事は午前11時に始まるということです。

 連続11時間の休息時間というのは、ヨーロッパの伝統的な考え方で、古くは、女性労働者の深夜業を禁止したベルン条約(1906年)にまでさかのぼります。ヨーロッパ連合(EU)は、この伝統の上に立って、1993年に法文化したのでした。

 その第一の目的は、労働者のいのちと健康をまもるということです。労働時間規制について、EUはこれまで、高失業率のもとで、雇用の創出を第一の目的にかかげてきましたが、今日、労働者のいのちと健康をまもるという課題を最優先の目的として重視するようになっています。この考え方は、近年、国際労働機関(ILO)でも強調されています。

 つぎに、連続11時間の休息時間という規定には、もうひとつ重要な目的があります。1日の労働時間の上限を間接的に規制するという目的です。1日は24時間ですから、11時間の休息時間を設けると、残りの13時間が労働時間となります。この13時間が上限になります。

 各国の、1日の法定労働時間の上限をみると、ベルギーやドイツ、スウェーデンなどでは8時間、オランダやノルウェーなどでは9時間、フランスなどでは10時間、イタリアやイギリスなどでは13時間で、どの国も13時間以内に設定しています。

 日本共産党は、過労死や過労自殺をはじめ長時間労働による身体と心の病をなくすためにも、休息時間の確保が必要と考え、EUで実現されているように、連続休息時間を最低11時間確保することを提起しています。また、休日出勤は極力おこなわせず、どんな場合でも1週間に1日は休めるようにすることなどをルール化するよう提案しています。(筒)

 〔2007・8・2(木)〕


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