2007年8月10日(金)「しんぶん赤旗」
主張
原水爆禁止世界大会
核兵器廃絶へ大きなうねりを
三カ国の政府とアラブ連盟をふくむ五大陸・二十カ国以上の海外代表、そして、全国各地から一万人以上が参加した原水爆禁止二〇〇七年世界大会(八月三日〜九日)は、核兵器廃絶の新しい世界のうねりをうみだすにふさわしい成果をおさめました。
政府と運動の共同
なにより、二〇一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議を三年後にひかえて、なんとしても二〇〇〇年NPT再検討会議での核兵器廃絶の「約束」を実行させようという決意と意気込みが、参加者全体のものとなったのが大きな特徴でした。
海外の反核運動の代表が、「国民の64%が政府に核兵器全面禁止をもとめている」(イギリス)、「政府にも核軍縮を迫っていく」(フランス)と運動を前進させる決意を表明すれば、政府代表も、「NPT会議の準備プロセスで核兵器廃絶をもとめつづける」(メキシコ)、「世界大会に参加することで、私たちの決意はさらに強まる」(エジプト)、「市民社会との共同が大事」(マレーシア)と、これに応えました。
世界大会は、核兵器廃絶をめざす各国政府と反核運動との共同の場として発展してきましたが、ことしの大会は、核兵器の廃絶にむけて、連帯をいっそう深めるものとなりました。
国際会議宣言は、二〇一〇年の再検討会議にむけて、「国連総会で核兵器全面禁止条約の協議開始を決議するよう強く提唱」しました。
アメリカのブッシュ政権がイラク占領の泥沼化など、内外で孤立をふかめ、核抑止政策の破たんも浮き彫りになるもとで、「核兵器のない平和で公正な世界」(大会スローガン)をもとめる声は、ますます広がっています。
世界大会は、この流れを結集し、さらに発展させていく大きなステップとなったと言えるでしょう。
日本の運動の役割も、いっそう重要になっています。
原爆症認定集団訴訟のあいつぐ勝利や「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名のとりくみとともに、「非核日本宣言」が自治体でも幅広い支持を得て急速に広がるなど、運動の新たな前進が示されました。
反核運動の出番だ
原爆投下「しょうがない」発言や憲法改定などの動きにたいし、参議院選挙が国民的な審判となったことも受けて、「これから運動の出番だ」「共同をいっそう広げよう」と意気高い討論となりました。
海外代表からも「九条をまもる運動と核廃絶の署名運動は、世界の活動家と政府を励ましている」(アメリカ)と高く評価されるなど、日本の運動がはたすべき国際的責務が一段と大きくなっています。
大会は、青年の一大結集の場として定着しつつあります。被爆者の証言に耳をかたむけ、学び、そして議論しあった彼らは、いまその成果をもって帰途につきつつあります。
この大会で、はぐくまれた若い知性と情熱は、かならずや明日をきりひらく行動となって、日本と世界で実を結んでいくでしょう。
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