2007年8月15日(水)「しんぶん赤旗」

主張

終戦記念日

「靖国」派政治の転換をめざす


 戦後六十二周年の終戦記念日を、戦争を許さず平和を求める決意の新たな機会にしたいと思います。

 戦前、天皇制政府と軍部が進めた領土拡張と他国支配のための侵略戦争は、二千万人ものアジアの人々の命を奪い、三百万人を超える日本国民を犠牲にしました。しかし、戦後生まれも増え、戦争の本質や悲惨さが十分に継承されない事情につけこんで、日本を再び戦争への道に引きずり込む危険な動きが目立ち始めています。平和原則を守り抜き、戦前の暗黒政治に後戻りさせる危険なたくらみを阻止することがいまほど重要なときはありません。

懲りない侵略美化

 安倍晋三首相が「戦後レジームからの脱却」と叫び、憲法を改悪しようとしていることが国の内外で不安を大きくし、さきの参議院選挙では国民から「ノー」の審判が下されました。

 戦後レジーム(体制)というのは、憲法で明記された主権在民、恒久平和主義、基本的人権などを国の政治の基本にした体制のことです。戦後体制を変えるというのは、二度と戦争をくりかえさないという公約を破棄するといっているのと同じです。日本は再び海外で戦争する道を進むのではないかという国際社会と国民の懸念は当然です。

 安倍首相は侵略戦争を「アジア解放の正義の戦争だった」と主張する「靖国」派勢力の先頭にたっています。朝鮮や中国をはじめとした外国の女性を日本軍の「従軍慰安婦」にした問題でも、「狭義の強制はなかった」といってはばかりません。被害者の心を逆なでするばかりか、被害者が悲痛の思いで「強制された」と証言しているのに開き直っていることが、アジア諸国ばかりかアメリカでさえ怒りを呼んでいます。

 米下院本会議は、ほぼ満場一致で、日本の首相に公式の謝罪と歴史的責任の受け入れを求めた決議を採択しました。

 ほんらい、アメリカからいわれずとも日本政府が歴史的責任を受け入れ、公式に謝罪するのが筋です。安倍首相が米議会の言い分にさえ耳を貸さないのでは、日本は孤立を深めるだけです。

 安倍首相が侵略戦争の正当化に執着するのは、海外派兵を「ためらわない」とのべたように、アメリカとともに日本が海外で戦争する態勢づくりをめざしているからです。憲法九条の改悪を狙うのはまさにそのためです。侵略戦争の正当化も、自衛隊が「侵略の血筋」を受け継いでいるとみられることによって海外での戦争に支障がでるのを避けるためであり、海外での戦争の野望と結びついています。

 「戦後レジームからの脱却」は九条の問題にとどまりません。国民の戦争協力を当然とし、人権も民主主義もない、男女の共生も認めない戦前の暗黒政治に引き戻すのが「靖国」派の狙いです。戦争責任の否定、憲法九条の改定、戦前・戦中の国内体制への回帰の行き着くところは、軍国主義日本復活そのものです。日本を再び恐ろしい国にするわけにはいきません。

反戦・平和の日本共産党

 安倍首相がめざす「戦後レジームからの脱却」にノーの審判を下した国民の選択は明確です。憲法を守り抜いて「靖国」派の野望を打ち砕くのは国民の意思です。

 日本共産党は、戦前・戦中から侵略戦争反対を貫いてきた反戦・平和の党として、憲法を守り抜き、戦争への道を許さず、平和日本の建設をめざして力をつくしていきます。



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