2007年8月15日(水)「しんぶん赤旗」

米印協定

核実験を規制しない

シン首相が“正当化”発言


 【ニューデリー=豊田栄光】インドのシン首相は十三日、先月合意した米国との核技術協定に関して国会で報告し、「将来の核実験はインドの主権が決めることで、協定は将来の政府の手を縛るものでも、その選択肢を法的に規制するものでもない」と強調しました。

 その一方で、シン首相は核兵器廃絶を「実現する努力は継続する」と表明し、「核兵器の保有はその責任感を高めるだけで、減少させることはない」と語りました。インドは期限を定めた核兵器廃絶交渉の開始を主張しています。

 両国は二〇〇五年七月に原発など民生用の核技術協力で合意。〇六年三月には、二十二の原子炉を民生用十四、軍事用八に区分けし、民生用には国際原子力機関(IAEA)の査察を入れることで一致しました。

 これを受けて米議会は〇六年十二月、インドへのウランなど核燃料や原発技術の輸出を認める法律を制定。両政府は実施要綱的な協定締結へ向け話し合いを続けてきました。

 話し合いの中で意見が対立した問題の一つがインドの核実験でした。インドは核不拡散条約(NPT)に加盟せず、九八年に核実験を実施し、核兵器を保有しました。核実験の凍結を宣言したものの、米国は恒久的な核実験禁止をインドに求めました。

 協定には核実験という文言はなく、「(締約国は)懸案事項において双方が受け入れ可能な解決が不可能と判断した場合は、協力を終わらせる権利を有する」「双方は協力の終了、中止に至る状況かどうかを注意深く考慮することに合意した」となっています。

 「注意深く考慮する」とは、インドでは「核実験の事実上の容認」(与党国会議員)と受け止められています。ムカジー外相は「インド側の懸念は適切に対処された」と述べ、米国の妥協を示唆していました。



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