2007年8月19日(日)「しんぶん赤旗」
「温暖化」枠組み 米中も
グリーンランドで 独首相が強調
【ベルリン=中村美弥子】グリーンランドを訪問中のドイツのメルケル首相は十六日、京都議定書で義務づけられた温室効果ガス削減期限の後の一三年以降の温暖化対策の枠組みについて、「米国と中国も加わらなければならない」と述べ、世界規模で対策を強化する必要性を強調しました。
メルケル首相はガブリエル環境相とともに、地球温暖化の影響で消失が進む氷河の様子を視察するために北極圏にあるデンマーク領グリーンランドを訪問。エノクセン自治政府首相とデンマークのラスムセン首相らとイルリサット氷河とセルメク・クジャレク氷河を海上と上空から観察しました。
現地からの報道によると、メルケル首相は会見で、「われわれの意欲的な目標は、新しい世界的な気候変動防止の合意だ」と発言。その上で、世界最大の温室効果ガス排出国でありながら、地球温暖化防止の枠組みに入っていない米国と中国に参加を迫りました。
ラスムセン首相は、「ドイツとデンマークは強力な同志だ」と述べ、「グリーンランドは気候変動の生きた証拠であり、迅速な行動が求められている」と強調しました。
メルケル首相は今月末、中国と日本を訪問します。中国では、地球温暖化対策を取り上げ、中国にいっそうの取り組みを促し、国際的な枠組みに加わるよう訴える予定です。
現在、主要八カ国(G8)サミットの議長国で、今年一―六月に欧州連合(EU)の議長国だったドイツは、地球温暖化対策を最重要課題に位置付けています。
三月のEU首脳会議では、温室効果ガスの排出量を一九九〇年比で二〇二〇年までに20%削減することが合意されました。また六月のG8サミットも、具体的な数値目標設定を拒否する米国に妥協したものの、五〇年までの温室効果ガス半減を「真剣に検討」する、国連を軸に交渉をしていくことで合意しました。
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