2007年8月22日(水)「しんぶん赤旗」
参院与野党逆転
命と暮らし 願い実現へ
国政動かす条件広がる
参院で与野党の議席が逆転した結果、九月に予定されている臨時国会は、国民の願いが実現できる新たな条件が生まれました。国民と日本共産党のたたかいいかんで、国政を現実に動かす可能性が広がっています。
障害者自立支援法
参院選で日本共産党は「ストップ貧困、いのちを守る――緊急福祉1兆円プラン」(別項)を掲げました。
このなかで、具体的に動き始めたのは障害者「自立支援」法見直しです。参院選で民主党は、定率一割の「応益負担」を凍結し、所得に応じて利用料などを負担する応能負担に戻すことを提案。この公約にもとづいて、秋の臨時国会には改正案を提出する方向です。
同法は、障害者、家族に対して、福祉サービス利用料や医療費の原則一割負担を強いるもの。二〇〇五年の国会で、自民、公明両党が強行成立させました。〇六年十月から本格的に施行されましたが、「応益負担」撤回を求める声が広がっていました。
日本共産党は参院選で、「応益負担」を撤回するのに必要な財源は約五百十億円だと示し、論戦をリードしてきました。参院で野党が多数を占めたことで、障害者やその家族に厳しい負担を強いている「応益負担」撤回の可能性が広がっています。
子ども医療費
日本共産党は、子ども医療費無料化を国の制度にすることを主張しました。とくに就学前の子どもの医療費をすべて無料にした場合、約千九百億円で実現できるという道筋も示しています。
東京都では、住民と日本共産党の運動で、中学三年生までの医療費無料化を導入する自治体が相次いでいます。この動きについて、公明党は、「公明党が自民党にも呼び掛け、昨年六月に石原慎太郎知事に申し入れ、検討が始まった」(公明新聞二月二十一日付)と“実績”を宣伝しました。
子ども医療費無料化を国の制度にする法案が提出された場合、“実績”と宣伝した公明党には反対する「理由」がありません。他の野党も子ども医療費無料化に「反対」を表明していません。
母子家庭児童扶養手当削減
政府は、母子家庭に支給されている児童扶養手当を来年四月から最大半減にする方針です。所得が低い母子家庭の「命綱」を削るものです。
この法改悪は〇二年の国会で強行されましたが、自民、公明、民主の各党が賛成しました。しかし削減反対の世論が高まるなか、民主党は参院選マニフェストで「児童扶養手当の支給水準の変更を元に戻し、母子加算の廃止を見直します」と公約しました。
児童扶養手当削減反対は参院で多数派となりました。国民の要求を実現するチャンスが生まれています。
緊急福祉1兆円プラン
(1)国民健康保険料の年1人1万円引き下げ
(2)介護保険の保険料と利用料の減免拡充
(3)子どもの医療費無料化を国の制度に
(4)障害者「自立支援」法の「応益負担」撤回
(5)生活保護の切り捨て中止、児童扶養手当削減中止