2007年8月27日(月)「しんぶん赤旗」
イラク派兵国
死者4千人突破
米英軍などが二〇〇三年三月にイラクに軍事侵攻して以来の派兵国の兵士の死者数が、今月十六日に四千人を突破しました。その後も増え、二十四日現在で四千二十二人となっています。
米軍が大幅増派に踏み切った今年は特に死者の増加が著しく、月平均では開戦以来最高になっています。
一方、市民の犠牲を調査している民間機関「イラク・ボディー・カウント」によると、イラク市民の犠牲者は七万人を超えています。
月平均96人にも
この戦争での死者などを集計し、インターネット上などで明らかにしている「イラク連合軍犠牲者」によると、今年に入って八月二十四日までの派兵国の兵士死者数は七百六十八人。月平均では九十六人です。
この数字は開戦した二〇〇三年の月平均死者が五十八人、〇四年から〇六年までが同七十人台だったのに比べると、際立って多くなっています。
このうち米兵の死者は、今年の月平均九十人は表のように昨年までの七十人前後を大きく上回っています。
特に今年四月から六月までは、三カ月連続して米兵の死者が百人を超えました。〇三年三月の開戦後初めてのことです。
死者増加の背景にあるのは、ことし二月に決定したイラクへの米軍大幅増派です。増派で十六万人体制とし、武装抵抗勢力の「掃討」作戦を実施する地域を広げましたが、それが兵士の犠牲者増に直結しています。なかでも武装勢力が路肩に仕掛ける簡易爆発物(IED)による犠牲が増しているのが特徴です。
米国に次ぐ第二の派兵国で最大時四万六千人の戦闘部隊を送りこみ、今も七千五百人を派兵している英国も同様です。同国兵士の死者は、今年八月時点で四十一人。この数字は、〇四年から〇六年までの年間二十人台を大きく超えています。
負傷者数も深刻です。「イラク連合軍犠牲者」によると、開戦以来、今年八月二十二日までの米軍負傷者は、三日以内に部隊に復帰できる軽度の負傷が一万五千百六十六人。三日以内では復帰できない者が一万二千三百四十人。合計で二万七千人を超えます。また、身体的症状はなくても、戦争後遺症ともいえる精神疾患が増加していることも報告されています。
市民も7万超す
イラク国内では、米軍と武装抵抗勢力との戦闘の継続とともに、宗派間対立など治安は悪化する一方です。このもとで国内避難民が約二百万人、ヨルダンやシリアなどへの難民も二百万人近いといわれています。
イラク・ボディー・カウントは、開戦以来のイラク市民の犠牲者は、七万三百五十九人から七万六千八百七十三人の間と見積もっています。
開戦から四年半、米軍兵士の死者は9・11同時テロの犠牲者総数に匹敵するまでになりました。さらにその二十倍近くのイラク市民の犠牲が出ていることになります。(西村央)
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