2007年8月29日(水)「しんぶん赤旗」
厚労省初の実態調査 “ネットカフェ難民”
放置できない
緊急かつ抜本的な対策を
“難民”抜け出せない悪循環
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厚生労働省が二十八日発表した日雇い派遣労働者と“ネットカフェ難民”の実態調査は、深刻な実態を改めて浮き彫りにするとともに、緊急かつ抜本的な対策が求められることを示しています。
日雇い派遣など低賃金の不安定雇用は、ワーキングプア(働く貧困層)の原因となっていると指摘されてきました。
今回の調査でも、日雇い派遣が大半を占める短期派遣労働者の平均月収は十三万三千円。ネットカフェ難民の日雇い派遣の月収も十二万八千円。これでは年収百六十万円にもならず、人間らしい生活などのぞめません。
安定した仕事を探そうにも「日払いの仕事でないと生活費が続かない」と答えており、“難民”になるとなかなか抜け出せない悪循環に陥っていることを示しています。
正社員への就職希望も強く、好んで“難民”になっているわけではない実態も明らかになっています。厚労省は「なくしていかねばならない」(柳沢伯夫前厚労相)といいながら、対策をとっていません。公共住宅あっせんや就労支援など直ちに緊急対策をとることが求められています。
厚労省は、日雇い派遣は学生などによる臨時・一時的な就労も少なくないとして、雇用保険への加入も認めていません。違法派遣で業務停止命令を受けたフルキャストでは、労働者が派遣を受けられなくなっても、日雇い労働者に出るはずの失業手当ももらえません。
学生などが日雇い派遣に就いているのは一割弱しかなく、八割が日雇い派遣で生計をたてていることが明らかになりました。雇用保険の適用を直ちにはかるべきです。
日雇い派遣は、一九九九年に派遣労働が原則自由化されてから急増しました。財界・大企業が正社員を減らし、非正規雇用を増大させるなかで、百万人近い人が日雇い派遣で生計を営んでいるともいわれており、雇用や生活の破壊を食い止めるために抜本的な対策をとることが求められます。
ところが、政府・与党は「労働ビッグバン」と称して、派遣労働者に対する直接雇用の申し込み義務をなくすなど、財界の要求にこたえて労働者派遣法のさらなる改悪をねらっています。
労働政策審議会では、派遣法の「見直し」と称してさらなる規制緩和が浮上しています。これは参院選で示された貧困と格差解消を求める民意にそむくものです。
派遣労働は臨時・一時的な場合に限定し、均等待遇や正社員化をはかること、そのために派遣法を「派遣労働者保護法」に改正するなど、規制緩和の流れを抜本的に切り替えることが求められています。
(深山直人)
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