2007年8月31日(金)「しんぶん赤旗」
58年 米元大統領の原爆正当化発言
日本政府、黙認していた
外交文書で判明
広島、長崎への原爆投下を正当化した一九五八年のトルーマン元米大統領の発言に対して、在米日本大使館が黙殺していたことが、三十日付で公開された外交文書で明らかになりました。
この文書は、同年三月二十日付の朝海浩一郎駐米大使から藤山愛一郎外相あての「極秘」公電です。
同年二月、トルーマン氏は米テレビで、原爆投下に「良心の呵責(かしゃく)を感ぜず」、「今後も万一の場合水爆を使う」と発言。広島市議会は二月十三日、発言に抗議し撤回を求める決議を可決しました。
これに対しトルーマン氏は、任都栗司市議会議長あての書簡(三月十二日付)を送り、原爆投下が「日本及び連合国の将来の福祉のために緊急にして必要であった」と反論。同書簡を公表しました。
「極秘」公電は、このトルーマン書簡に関するものです。同書簡が三月十五日付の米各紙で報じられたことや、元連合国軍総司令部(GHQ)のボナー・フェラーズ准将が大使館を訪問し、トルーマン書簡は事実に反するので「何等かの処置」をとってはどうかと助言したことを報告しています。
当時のアイゼンハワー大統領が原爆投下に批判的だったことから、同准将は、日本側が態度表明しても両国が「気拙(まず)い関係になることは考えられず」と述べたといいます。
これに対し大使館側は「好意的勧告としてアプリシエート(高く評価)する」と答えただけで、事実上、黙殺しました。
一方、広島市議会の任都栗議長は三月二十日、原爆投下を「合法化」するトルーマン氏に再び抗議する書簡を送りました。
なおフェラーズ准将は、「日本は天皇の英断により、米国の原爆投下の数ヶ月前の四月、既に降伏の決定を為(な)していた」として、トルーマン書簡を批判しました。しかし四五年四月時点で、天皇側近は講和を助言していましたが、天皇自身は戦争を継続する立場をとっていました。
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