2007年9月1日(土)「しんぶん赤旗」

08年度省庁税制要求

大企業・資産家に減税

減価償却や証券優遇恒久化


 各省庁の2008年度税制「改正」要望が31日、出そろいました。「成長力強化」を掲げる安倍内閣のもと、大企業減税、大資産家減税が目白押しの要求となりました。


 経済産業省は、大きな設備を持つ大企業ほど恩恵がある減価償却制度(〇七年度の見直しで約七千億円の減税)の拡充や研究開発減税のいっそうの拡充を要求。また、企業が外国で税額を払ったとみなして税額が控除され、事実上の補助金となっている「外国税額控除制度」について、対象範囲の拡大などを求めました。さらに、検討事項として「地方法人二税を含めた法人実効税率の在り方」をあげました。

 金融庁は、株取引で大もうけをあげる大資産家に対する優遇措置の大幅な拡充を求めています。20%から10%に軽減している配当に対する課税について、10%のまま「恒久化」することをはじめて要求しました。譲渡益については同様の優遇措置を「当分の間の継続」とすることを求めました。同優遇措置は、昨年の税制「改正」大綱で、一年延長の上、〇八年度末で廃止することが決まっていました。

 これらの証券優遇税制による減税額は年間約一兆円。〇七年度は、大企業減税(減価償却制度の見直し)と合わせて約一兆七千億円の大企業・大資産家減税となっています。一方、〇七年に所得税と住民税の定率減税が廃止され、約一兆七千億円の増税が家計を襲いました。今秋以降に消費税増税の本格的な議論までたくらまれています。

 このため、先の参院選でも“庶民に増税、大企業・大資産家には減税”という「逆立ち税制」に強い批判が起き、与党大敗の要因の一つとなりました。ところが、安倍内閣のもとでの各省庁の税制「改正」要望は、世論の批判に背を向け、財界・大企業の要求に沿ったものとなっています。

表


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