2007年9月1日(土)「しんぶん赤旗」
米政府
戦費５００億ドル上乗せ
イラク「増派」継続狙い検討
【ワシントン＝山崎伸治】ブッシュ米政権がイラク、アフガニスタンの戦費として、議会に対し約五百億ドル（約五兆八千億円）を追加要求することを検討中であることがわかりました。二十九日付の米紙ワシントン・ポストがホワイトハウス関係者らの話として報じました。現在継続中のイラク米軍「増派」の継続を狙ったものと受け止められています。
ブッシュ政権は現在審議中の二〇〇八会計年度（〇七年十月―〇八年九月）予算で、国防予算とは別に、イラク、アフガニスタンの戦費約千四百七十億ドルを追加予算としてすでに要求しています。検討中の五百億ドルはこれに上乗せするものです。
野党・民主党が多数派の議会はイラク戦費について、九月に再開される議会で本格的に審議する構え。同紙によると、ブッシュ政権はイラク米軍のペトレアス司令官とクロッカー駐イラク大使が九月半ばに議会に対して行うイラク情勢報告後に戦費上乗せを提案するといいます。
その理由について、「両高官がイラクに期待できる事態の展開があるが、進展が確実になるには時間が必要だと主張した直後には、議会も妨害しそうにない」ことを見込んだものだと同紙は報じています。
同紙によると、上乗せ分は現在継続中のイラク武装勢力掃討作戦にあてられます。「増派」の予算はそもそも〇八会計年度の本予算には盛り込まれておらず、「五百億ドルの上乗せを要求するという決断は、掃討作戦が二〇〇八年春まで継続し、議会がそれを短縮はしないという政権の見解を反映しているようだ」と分析。ブッシュ政権が議会に攻勢的な構えをとっていると指摘します。
ただ議会内には、野党・民主党を中心に、これ以上の追加戦費には応じないと主張する反戦勢力もあり、政権の思惑通りになるかどうか、不透明な部分もあります。
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