2007年9月2日(日)「しんぶん赤旗」
テロ特措法延長
与党は「外圧」頼み
インド洋への海上自衛隊派兵の根拠となっているテロ特措法の延長問題をめぐって、十日開会予定の臨時国会を前に、与野党の攻防が激しくなっています。参院選で与野党が逆転した結果、廃案に追い込む可能性が生まれるなか、選挙で示された民意をどう生かすのかが問われます。
テロ特措法は、アメリカによる対テロ報復戦争に自衛隊を参戦させるために二〇〇一年十月に政府・与党が成立させた時限立法。これまで三回延長しましたが、十一月一日で期限切れとなります。そうなれば、インド洋で米軍などの後方支援をしている自衛隊艦船は帰国しなければならなくなるため、政府・与党はなんとしても同法の延長をはかりたい方針です。
八月二十九日の日独首脳会談でも、安倍晋三首相は「ぜひ延長したい」と口火をきり、「日本が国際的な貢献を続ける意志があることを評価する」とのメルケル独首相の発言を引き出しました。三十日には、ブッシュ米大統領がこの問題に関連して「今後も日本が前向きな影響力を保持し続けることを望んでいる」と米国の意に沿いたい首相を側面支援しました。
政府は、こうした「ガイアツ」に頼る一方、内閣改造後しきりに「柔軟姿勢」をみせ、延長法案の「修正」で民主党に誘いをかけています。
しかし、もともとテロ特措法は、報復戦争への参戦を求める米政府高官が「ショー・ザ・フラッグ」(旗を見せろ)と号令をかけたことから始まった「ガイアツ」派兵法です。その延長まで、また「ガイアツ」に頼ろうとする政府・与党の“アメリカいいなり”そのものです。
民主「反対」で廃案も
テロ特措法延長法案への反対を明言している民主党の小沢一郎代表は、八月三十一日の記者会見でも、政府・与党からの批判について「賛成しなければ政権担当能力がなきがごとき議論はまったくのむちゃくちゃな暴論だ。アメリカ国内でさえ、ブッシュ政権は本当の少数派でしかない」と切り捨てました。
臨時国会では、テロ特措法廃止法案を提出することを検討しているとの報道もあります。
与野党逆転した参院では、常任委員長ポストの配分が政党間協議となっています。民主党は九つの委員長ポストをとる予定で、テロ特措法問題を議論する外交防衛委員会の委員長も要求。法案審議の主導権を握ろうとしています。
非軍事でこそテロ根絶
解決の道示す共産党
日本共産党の志位和夫委員長は、八月二十八日放映のCS番組で、「特措法による約六年間の『対テロ』戦争支援なるものが何をもたらしたかの総決算をおこない、きっぱりと延長をやめさせることが一つの大きな問題となる」とのべました。
同時に、志位氏は、国際的な司法と警察の力という非軍事の方法でこそ、「本当にテロの根を絶つことができる」と指摘。臨時国会では、さらにこの根本にある日米同盟の問題を正面から問うとして、「世界で軍事同盟が解体あるいは機能不全の傾向にあるときに、日本だけが『世界の中の日米同盟』ということで、世界のどこででもアメリカにつきしたがうという軍事同盟体制を二十一世紀も続けていいのか」と提起しています。
日本共産党は、参院選で示された民意を背景に、同法案を廃案に追い込むために野党の共同も呼びかけています。