2007年9月7日(金)「しんぶん赤旗」

確定拠出年金

8万人 宙浮く

制度6年弱 手続き複雑


 制度がスタートして六年弱と日の浅い確定拠出年金(日本版401k)でも、年金記録が宙に浮いている人が三月末で約八万人に上ることが六日までに明らかになりました。複雑なことなどから、加入者が転職する際に手続きを忘れたり、怠ったりしているためです。このまま住所不明となり、本人の届け出がなければ、将来の年金支給に支障を来す恐れもあります。

 401kは、加入者自身が資産運用を指図する企業年金。個人別に資産を管理するため、転職先に年金資産を持ち込めると宣伝されてきました。転職先に401k制度がない場合は、加入者自身が手続きをして個人型401kに資産を移し、原則として六十歳まで運用しなければなりません。

 ところが、「手続きが複雑だ」「多忙で時間がない」「手数料が高い」などとして放置する人が三月末で八万六百三十八人と前年同期比70%も増加。宙に浮いた資産は同58%増の二百十一億円に達しています。

 歴史の古い厚生年金基金では、企業年金連合会で受給資格のある百二十四万人の未申請者が確認されました。401kは始まったばかりで実際の受給者は少なく、こうした事態は起こっていません。ただ、将来に備えて、企業や401k関係機関による手続きの周知徹底が求められています。


 確定拠出年金 給付額が決まっている厚生年金基金などと異なり、運用実績に応じて将来の給付額が変動する企業年金。企業責任を放棄し、どれだけ年金の給付を受けられるかは従業員の自己責任という制度です。米国の制度を手本にしたため日本版401kと呼ばれます。老後の所得保障という制度目的を徹底するためとして原則として六十歳まで解約できません。転職で401kのない企業に移った場合、年金資産を個人型401kに移す手続きを怠ると、資産運用をしないまま管理手数料を差し引かれるといったデメリットが生じます。



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