2007年9月9日(日)「しんぶん赤旗」
省エネ25%の努力目標
APEC首脳会議 温暖化で特別宣言
【シドニー=井上歩】二十一カ国・地域で構成するアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が八日、オーストラリアのシドニーで開幕しました。地球温暖化問題で、省エネルギーの努力目標などを盛り込んだ特別宣言を採択しました。
焦点となっていた省エネ目標の設定では、エネルギー利用効率を二〇三〇年までに〇五年比25%改善することを「前向きな目標」と設定。義務付けることは避けました。
特別宣言は経済成長、エネルギー安全保障、気候変動を「APECにとって相互に関連している基本的な課題」だと位置付け。ポスト京都議定書(二〇一三年以降の気候変動対策)の枠組みについて、気候変動枠組み条約締約国会議の場で包括的な取り決めを結ぶため積極的、建設的に行動することで合意しました。
宣言は、将来の気候変動対策の枠組みについて、経済など条件の違いを反映し、「共通だが差異ある責任」と調和する必要があるとも指摘しました。
また二〇二〇年までに二千万ヘクタールの植林をする目標も同様に努力目標として設定。宣言には、温暖化の緩和のための「アジア太平洋森林回復・持続可能管理ネットワーク」設置も盛り込まれました。
首脳会議では特別宣言について「将来の枠組みに向け、気候変動について認識を共有できたのは有意義」など評価する意見が相次ぎました。多くの首脳が、国連の枠組みで交渉していく重要性を強調。中国などいくつかの発展途上国は「共通だが差異ある責任」を指摘しました。
今回のAPECは、議長国オーストラリアの提案で初めて地球温暖化問題を主要議題にとりあげました。APECの場で温暖化対策を議論すること自体に発展途上国から異論が出たほか、省エネなどで具体的な数値目標を盛り込む提案に、発展途上国が難色を示し調整が難航しました。
ハワード豪首相は、初日の会議後「APECが地球温暖化問題に積極的に取り組むことを示したもの」と述べました。
ブッシュ米大統領は、来週予定されているイラク情勢報告に備えるため、会議の出席は八日だけで退出しました。首脳会議は九日、食の安全確保への協力などを盛り込んだ首脳宣言などを採択して閉幕します。
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