2007年9月13日(木)「しんぶん赤旗」
首都にともる「広島・長崎の火」
核廃絶 訴え続ける
ニュージーランド
非核政策を貫くニュージーランドの首都ウェリントンには、日本から贈られた「広島・長崎の火」があります。両国の平和運動の協力で同市の植物園に造られた「平和の火の庭」(ピース・フレーム・ガーデン)の灯ろうにともされています。(ウェリントン=山崎伸治 写真も)
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ウェリントンは丘の町です。長崎を思わせる坂道の一つを上り詰めたところに植物園はあります。ニュージーランドは季節が日本と逆。九月は冬が終わり、春に向かう季節です。花の盛りにはまだ早いものの、この日も暖かな日差しを楽しみに、子ども連れや老夫婦が訪れていました。
94年に点火式
「広島・長崎の火」は東京・上野東照宮境内にあるモニュメントから分火されたもの。九〇年十月にウェリントン市に贈られ、市役所で保管されていました。九四年六月、上野東照宮の嵯峨敞全宮司(代理)、日本共産党の金子満広副委員長(当時)ら「上野東照宮境内に『広島・長崎の火』を永遠に灯(とも)す会」代表団やウェリントン市長らが出席し、点火式が行われました。
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地元の建築家が設計した「平和の火の庭」は、奥に人工の滝が流れ、池の中心に「火」のともる灯ろうがあります。「火」の由来などを記した記念碑や石碑が岸にすえられています。
「いまでは観光スポットになっているね。ここで結婚式が開かれることもあるよ」―アオテアロア・ニュージーランド平和評議会のバーニー・リチャーズさんが教えてくれました。
もとは「カモの池」と呼ばれていた場所。いまも池にはカモが泳いでいます。週に一度は植物園に来るというグレタ・ファーニーさん(66)はこの日も二人の孫を連れて、池のそばでくつろいでいました。「こういう火があることは、とてもすばらしいことです」
「非核法」20年
ニュージーランドで、原子力推進艦船の寄港や核兵器を搭載した艦船・航空機の寄港・着陸を禁じた「非核法」が制定されて、今年は二十周年。同法はいまも国民に支持されています。
「『広島・長崎の火』は、ニュージーランドが非核政策を永遠に守るよう保証したものです」―ウェリントンに「火」をともそうと尽力した同評議会名誉議長のジェラルド・オブライエンさんは言います。
「この火は、地上からすべての核兵器が廃絶されるまでともされ続けねばならない」―記念碑に刻まれた嵯峨宮司の言葉です。核兵器廃絶が一日も早く実現するよう「火」は静かに訴えています。
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