2007年9月14日(金)「しんぶん赤旗」

キヤノンに是正指導

偽装請負で栃木労働局 求められる正社員化


 栃木労働局は十三日までに、キヤノン宇都宮事業所(宇都宮市)で偽装請負があったとして、文書による是正指導を行いました。請負労働者(32)=キヤノン非正規労働者組合宇都宮支部長=らが昨年十月、偽装請負で働かされているとして栃木労働局に申告していました。

 指導内容は、派遣元の人材会社と業務請負契約を結んでいるのに、実際は派遣労働者として働かせている偽装請負があったとして改善を指示。さらに、全社にわたり同様の状況がないか点検するよう指示しました。

 偽装請負は、実態は派遣なのに請負契約を装って、派遣期間の制限(現行三年、当時一年)を超えて働かせる違法行為。

 同社はこれまで偽装請負があったことを否定していましたが、是正指導を受けたことで、請負労働者を直接雇用し、安定雇用をはかることが求められることになります。

 キヤノン広報部は、「是正指導を真摯(しんし)に受け止め、全社点検と順法状態の維持に努めたい」としています。

 同社は〇四年と〇五年にもグループで計七件の偽装請負を指摘され、是正指導を受けています。

 キヤノングループでは各地で偽装請負が問題化。御手洗冨士夫キヤノン会長(日本経団連会長)は「請負法制を見直してほしい」と開き直っていましたが、是正指導を受けたことで改めて社会的責任が問われます。

 キヤノンは偽装請負の告発を受けて八月末、請負労働者八十三人を期間社員(期間工)として直接雇用することを打ち出しましたが、契約期間は当初五カ月で、最長でも二年十一カ月までしかありません。

 労働者派遣法では、期間制限を超えて働かせる場合、受け入れ企業は労働者に直接雇用を申し込まなければなりません。正社員の派遣への置き換えを防ぐとともに、「安定雇用の確保」のため設けられたルールです。

 この直接雇用について政府は「必ず長期雇用を申し込まなければならない義務がある」(柳沢伯夫前厚労相)としています。是正指導を受けたことでキヤノンは、期間工にとどまらず正社員化など安定雇用の確保が求められることになります。



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