2007年9月17日(月)「しんぶん赤旗」
世界の穀物在庫 最低に
07―08年度見通し たった55日分
農水省がまとめた世界の穀物等需給動向によると、二〇〇七年度から〇八年度にわたる世界の穀物期末在庫率は、前年度から3・8ポイント減少して15・2%と過去最低となる見通しです。在庫量も世界の人が必要とする五十五日分で、食料危機がいわれた一九七二―七三年度を下回ります。
穀物生産量は回復傾向にあるものの、工業化のすすむ諸国の需要やバイオ燃料エタノール用の利用が増え、生産量を大幅に上回るためです。
同需給動向は、アメリカ農務省(USDA)報告をもとにまとめました。米、小麦、トウモロコシ、大麦など粗粒穀物を合わせた〇七―〇八年度の生産量は、価格上昇が刺激になり増産に向けた取り組みがすすみ、前年度より5・1%増えて二十億九千百万トンが見込まれます。前年、大干ばつで減収したオーストラリアの小麦も回復見込みです。黒海沿岸やアメリカが長雨による減収の懸念があります。
需要面では、中国・インド・ブラジル・ロシアなどの諸国の工業化がすすみ食用、飼料用需要がふえます。さらにトウモロコシを原料とするエタノール用の利用が増えるため、総需要量は二十一億四百万トンとなり、生産量を千三百万トンほど上回ります。
穀物期末在庫率15・2%(五十五日分)の水準は、“食料危機の時代”といわれた一九七二・七三年度を下回る過去最低となります。
需給動向は、国際的に食料価格の上昇を招き、輸入に頼る途上国の食料事情を悪化させ、八億人を超える飢餓を深刻にします。
日本の食料自給率は40%を割り、六割余を外国に依存しています。世界の人口2%の日本が世界の食料の10%を消費しています。
食料自給率向上策を強め、食料主権を求める動きが国際的流れとなっています。日本が食料自給率を高める政策に転換することは、日本の食料の安全・確保ということにとどまらず、世界の食料需給状況を改善するうえからも急務となっています。
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