2007年9月17日(月)「しんぶん赤旗」
エサ米生産に助成金
遊休水田を有効利用
紙議員が提案
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飼料用穀物の国際価格が上昇するなか、減反水田などを利用して豚や鶏のエサにする国産多収穫米の振興が注目されています。農水省がまとめた来年度予算概算要求のなかにも新規事業が盛り込まれています。
新規事業は、食用にはそぐわなくても収量の増大が見込まれる品種改良と生産技術の開発が中心です。国や都道府県の研究に助成するとともに、農家グループにも助成します。
農家対象の新規事業に「生産性限界打破事業」(十億三百万円要求)があります。水田を耕さないで直接種をまき、多収穫のエサ米を低コストで生産しようとする三戸以上の農家グループにたいし事業費の二分の一を補助します。
トウモロコシ、小麦など飼料穀物は、輸入価格が二倍以上に上昇し、遺伝子組み換えも多くなっています。このため、国産のエサ米づくりは、消費者団体、農家グループや畜産農家が連携して始まっています。
山形県遊佐町では、地域協議会で決めた水田転作作物として十アール五万五百円を農家に交付。三年前から養豚農家が“米育ち豚”として生協に供給しています。百三十ヘクタールまで作付けが増えています。同町は「大豆などを水田転作しても連作障害になるが米は心配ない。米作りの技術、機械がある。損をしない交付水準にしているが、交付金は枠があり面積が増えれば単位あたりの額は減ってしまうのが心配」(産業振興課)といいます。
日本共産党の紙智子参院議員(農水委員)は、農水委員会で、水田などの耕作放棄地に作付けすれば飼料自給率は現在の25%を10ポイント向上させることができると指摘。エサ米品種の普及ができる思いきった助成の取り組みを要求していました。
農業振興地域内の耕作放棄地15万ヘクタール
農水省統計部が発表した農業振興地域内の農用地面積は二〇〇六年八月現在、四百三十九万七千八百四ヘクタールでした。農業振興地域内の農用地は、市町村が農地として積極的に利用指定した地域の農地です。
そのうち耕作放棄地は十五万三千百五十一ヘクタール(全体の3・5%)となりました。耕作放棄地は、過去一年以上作付けをせず、多少手を加えれば耕地にもどる可能性がある土地です。傾斜地も含め三十九万ヘクタールもあります。
価格・所得保障により引き合う対策があれば、エサ米やトウモロコシなど飼料作物、ナタネなどを作付け、耕作放棄地を有効利用し食料自給率を向上することができます。