2007年9月20日(木)「しんぶん赤旗」
伝統・文化の継承 真の愛国の立場とは?
〈問い〉 右翼や“靖国”派の人たちは、「愛国心」や「日本固有の伝統、文化」をいいます。一方、日本共産党も、愛国心や伝統文化の継承をいっていると思いますが、どこが違うのですか?(北海道・一読者)
〈答え〉 “靖国”派の人たちが最大の売りものにしているのが日本の民族的誇りや歴史、伝統、つまり「愛国心」についてです。この勢力は、あたかも日本の独立や祖国への愛情、日本国民としてのアイデンティティー(自己同一性)をなによりも大切にするかのようにふるまいます。しかし、第2次大戦後、半世紀以上続いているアメリカヘの異常な国家的従属、重大な主権侵害には手もふれないばかりか、これを容認し、さらに強化しようとしています。国家主義とかナショナリズムといわれますが、言葉の本来の意味で、そう呼ぶことさえ適切ではありません。そのことは、明治時代のナショナリストが、不平等条約の解消を党派の違いを超えて最大の民族的課題として追求し続けた事実と対比してもあきらかです。
日本の歴史や伝統、文化についていえば、そこには、継承し守り発展させるべきものと、そうでないものとがあります。その違いを意図的に無視しているのが“靖国”派の特徴です。そこから、皇国史観や戦前の家父長的な家族制度、女性の劣悪な地位などまで、良き伝統として擁護するのです。これは、自国の歴史と伝統、文化に対する不当な態度であって、民主主義と社会進歩の立場からきびしくしりぞけなければなりません。
さらにいえば、そもそもわが国のすばらしい伝統や歴史的文化的遺産、自然を、開発や都市化、あるいは米軍基地強化のなかで破壊してきたのは、大企業とその要求を代弁した開発優先政治、米軍基地温存・強化など対米従属路線をとってきた自民党政治です。これへの反省もないまま、歴史と伝統、文化を語ることは、まやかしそのものです。
この点で、日本共産党は、党綱領に「わが国の進歩と変革の伝統」を受けついで党が創立されたことをうたい、独立・民主日本の実現とともに「文化各分野の積極的な伝統を受けつぎ、科学、技術、文化、芸術、スポーツなどの多面的な発展をはかる」ことを明記しています。対米従属から脱却して国の主権を本当の意味で確立することを大前提に、日本の国土と自然、歴史と伝統、文化の破壊と正面からたたかい、それらの積極的な擁護、継承、発展をはかる、日本共産党のこの立場こそ、国を愛する広範な国民の気持ちと要求を真の意味で代表しうる立場であって、その意味ではこれこそ真の愛国者の立場であるということができます。(正)
〔2007・9・20(木)〕