2007年9月21日(金)「しんぶん赤旗」
海自参加作戦
安保理が決議で「謝意」
「国連の枠外」 ロシアは棄権
【ワシントン=鎌塚由美】国連安全保障理事会は十九日、アフガニスタンに展開する国際治安支援部隊(ISAF)の任期を今年十月から一年間延長する決議を賛成十四、棄権一で採択しました。同決議には、日本政府の働きかけで、米軍主導の「不朽の自由作戦」(OEF)の一環として海上自衛隊が参加している「海上阻止行動」への「謝意」が、法的拘束力のない前文に初めて盛り込まれました。ロシアは決議案に不同意を表明し、棄権しました。
ロシアのチュルキン大使は採決にあたり、海上阻止行動に言及する理由が不明確だと指摘。OEFに基づく作戦は「国連の枠外で遂行されている」とのべました。さらに、「今回の決議案はある特定の国の国内事情のためである。国際社会全体の課題を協議する安保理の性格にそぐわない」と批判。「安保理の団結が犠牲になった」と強調しました。
中国は決議案に賛成したものの、「こうした採択の仕方が悪い前例にならないよう期待する」とのべました。
ISAFは、安保理決議一三八六(二〇〇一年十二月)に基づくものですが、OEFは安保理決議なしで、タリバン・アルカイダ勢力の一掃を目指す米国が主導しているものです。海自は、テロ対策特別措置法に基づき、OEFの海上阻止行動への協力として、インド洋で米艦船などに給油活動を続けています。
国連を政権延命の党略に利用
志位委員長 日本政府の態度を批判
日本共産党の志位和夫委員長は二十日の定例記者会見で、国連安保理が海上自衛隊の参加する「不朽の自由作戦」(OEF)の海上阻止行動への「謝意」を前文に盛り込んだ決議を採択したことについて問われ、「もともと前文は法的拘束力を持たないもので、そこに『謝意』を書き入れたことをもって、国連が米国などに対して、報復戦争を遂行する権限を与えたことにはとうていならない」と指摘しました。
そのうえで、「日本政府が、本来国際社会の平和と安定のための活動をする国連安保理に自民党政権延命という党略を持ちこみ、利用しようというのは、国際社会で批判されるべき恥ずかしい行為です」と厳しく批判しました。
国連安保理決議(前文関連部分)
国連安保理でのアフガニスタン国際治安支援部隊(ISAF)の任務を延長する決議の前文の「海上阻止行動」に関連する部分は次の通りです。
一、ISAFと「不朽の自由作戦」(OEF)連合を含む国際社会の支援を受けて、治安状況を改善する取り組みや、タリバンやアルカイダ、その他の過激派の脅威に継続的に対処するアフガン政府の継続する努力に改めて支持を表明する。これに関連して、ISAFとOEF連合を含む持続的な国際的努力の必要性を強調する。
一、ISAFのアフガニスタン全土への展開の完了と、ISAFとOEF連合との継続的連携、並びにISAFと欧州連合(EU)のアフガニスタンへの駐留、とりわけその警察任務(EUPOLアフガニスタン)との間に確立された連携を歓迎する。
一、北大西洋条約機構(NATO)に提供された指導力、並びにISAFと、海上阻止部門を含むOEF連合に対する多くの国々の貢献に謝意を表明する。
■関連キーワード