2007年9月22日(土)「しんぶん赤旗」
奨学金 返済滞納19万人超
主な理由は困窮
日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金制度の利用者のうち、返済を三カ月以上滞納している人が二〇〇六年度末時点で十九万四千人に達し、滞納額(延滞債権額)は二千七十四億円に達することがわかりました。学費の高額化に加え、非正規雇用の拡大で、奨学金の返済が重くのしかかっている状況が示されています。
奨学金制度は経済的理由で就学困難な学生などに対する貸与制度。利用者(延べ人数)は〇六年度末で三百四十四万人、貸出総額は四兆七千二百四十三億円となっており、高い学費を支払うために奨学金を利用する学生は年々増加しています。
しかし、卒業後、経済的理由から支払い困難になる人があとをたちません。支援機構が奨学金の遅延理由について〇五年度におこなった調査(〇六年度は実施せず)によると、延滞理由として「低所得」を上げた人が22・1%とトップ。ついで「無職・失業」が20・3%で、経済的困窮から払いたくても払えない状況に陥っていることがうかがえます。
また奨学金の滞納者の内訳をみると、〇六年度の無利子貸与は十三万九千人、滞納額千百三十七億円で、前年度(十三万八千人、千百四億円)と比べてほぼ横ばい。一方、有利子貸与は五万四千人、滞納額九百三十七億円となっており、前年度(四万七千人、七百六十億円)と比べると、
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奨学金制度は、一九九九年度から有利子枠が大幅に拡大。滞納額は二〇〇一年度から急速に増える傾向にあります(図)。しかし、文部科学省は〇八年度予算で奨学金事業の有利子枠を七・四万人増加させる予算案を計上。有利子枠と無利子枠の比率は、一九九八年度の一対三から、二〇〇六年度は二対一に逆転していますが、さらに有利子枠を拡大する方針を示しています。
高すぎる学費負担の軽減を
日本学生支援機構労働組合の藤井和子中央執行委員長の話 学費が高額化し、奨学金の借入額が増加する一方、学生が社会に出た後の就職状況は厳しくなっています。非正規雇用やフリーターの増加など返済能力が追いつかず、やむを得ず滞納をしているケースも多いのではないでしょうか。奨学金の金利上限(3%)の引き上げなどが検討されていますが、高すぎる学費の負担を軽減することがなければ、根本的な解決にはならないと思います。
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