2007年9月27日(木)「しんぶん赤旗」

農業の展望 どうひらく?


 〈問い〉 いま農村では米価暴落で展望が持てず困っています。日本共産党の第5回中央委員会総会は「価格保障と所得保障を組み合わせて家族経営を守る政策に転換させる」としていますが、もう少し具体的にお聞かせください。(福島・一読者)

 〈答え〉 10年前に1俵(60キロ)2万円を超えていた生産者米価はいまや1万5千円以下です。米価が生産費を大幅に下回り、とめどなく下落する状況では農家が展望を失うのは当然です。

 この事態は自民党政府が生産者米価の下支えの役割を放棄し、大手スーパーなどの買いたたきを野放しにしてきた結果です。他の多くの農産物でも政府の輸入自由化・価格保障切り捨て政策のもとで安い外国産との競争を強いられ、農家経営は深刻な打撃を受けてきました。

 今日の農家経営の危機を打開するには、とめどない輸入自由化や価格暴落野放しの政策を大本から転換し、主な農産物に生産コストを償う価格を保障することが不可欠です。あわせて、中山間地など生産性が低い地域があることや農業には環境保全など多面的な役割があることを踏まえて一定の所得保障も必要だと考えています。5中総の提起はそういう趣旨からです。

 具体的に、米でいえば、過去3年間の生産費の平均を基準にして米価がそれを下回れば差額を補てんする制度を創設し、当面、農家手取りを1俵1万7千円以上にすることを提案しています。麦や大豆、畜産物などにもそれぞれの品目の生産、流通の実態に即した仕組みが必要だと考えています。所得保障については、現在行われている条件不利地域への直接支払いを拡充し、営農による国土・環境保全などの役割を正当に評価して平場地域にも適用を広げることを打ち出しています。

 その財源は国の予算全体に占める農業予算の割合を基幹産業にふさわしく高めるとともに農業予算の重点を価格・所得保障に移すことで十分確保できます。

 95年にスタートした貿易拡大一辺倒のWTO(世界貿易機関)農業協定は、価格保障は生産を刺激して貿易拡大を阻害するとの理屈で各国に一律削減を義務づける一方、生産拡大に結びつかない所得保障は容認しました。そのもとで自民党政府は価格政策を次々に投げ捨て、大規模経営に限定した所得保障への転換を進めてきたのです。しかし、世界の主な国で価格保障を完全に捨てたのは日本だけです。欧米諸国は価格保障を削減しながら制度は維持し、所得保障と組み合わせて農家への支援を強めています。

 日本共産党は自給率が極端に低く、増産が必要なわが国の農業政策にもっとも必要なのは、生産を刺激する価格保障であり、それこそが農家の所得も安定させ、生産に意欲がわき、担い手も育つと訴えています。(橋)

 〔2007・9・27(木)〕


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