2007年9月30日(日)「しんぶん赤旗」
国連下で新枠組み
目標義務付け求める声も
温室ガス削減
【ワシントン=山崎伸治】米政府の主催で二十七日からワシントンで開かれていた温室効果ガスの主要排出国会議(エネルギー安全保障と気候変動に関する主要経済国会合)は二十八日、議長総括を発表して終了しました。
国際会議閉幕
議長総括は、温暖化防止の「京都議定書」の目標達成期限の二〇一三年以降の新たな国際的枠組みづくりを国連の下で行うと確認。十二月にインドネシアのバリで開かれる国連気候変動枠組み条約第十三回締約国会議の終了後に、第二回の会合を開くとしています。
議長総括は、数値目標の義務づけに反対するブッシュ政権の意向を反映し、温室効果ガスの排出削減の長期目標を各国の努力目標にとどめ、「負担の分担を求める根拠として使われるべきでない」という「共通の理解」があったとする内容となりました。
これに対し欧州連合(EU)のカール環境長官は記者会見で、「幅広い目標よりも排出量削減の具体的目標の話し合いが必要だった」と不満を表明するなど、数値目標の設定を求める欧州諸国との隔たりは残されたままとなりました。
この日午前に演説したブッシュ米大統領は、温室効果ガスの排出量削減の目標を設定する必要性は認める一方で、「それぞれの国は、その長期目標の達成に向けて前進するため、独自の戦略を描く」と述べて、目標の義務付けには反対を表明。目標達成のカギは「クリーンなエネルギー技術の前進にある」と強調しました。また「今年、必要な作業を行うことで、〇九年中に国連で国際的なコンセンサスを得ることが可能になる」と表明。新たな国際的枠組みづくりは、〇九年に発足する次期政権の課題との認識を示しました。
米メディアの報道によると、ブッシュ氏の演説に対して、英国のアシュトン外相特別顧問は「排出量削減の具体的な目標にふれなかった」と指摘。ブラジルのバルガス外務次官は「米政府は自分たちの立場について何も新しい提案をしていない」と述べました。
二〇五〇年に温室効果ガスを現状から半減する長期目標を提案している日本の高村正彦外相は演説で、日本の提案を「拘束的でないビジョン」と説明。これに対しEUは、基準年を一九九〇年とした上で拘束的な削減目標を導入するよう求めました。
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