2007年10月1日(月)「しんぶん赤旗」
イラク撤退求める
米議会前 反戦組織が集会とデモ
戦争でなく福祉拡大を
映画「シッコ」登場者も
【ワシントン=山崎伸治】イラクからの米軍の撤退とブッシュ米大統領、チェイニー副大統領の弾劾を求めて、二十二日から米議会西側の広場でキャンプを張ってきた米国の反戦組織「今こそ軍の撤退を」連合は最終日の二十九日、集会とデモ行進を行いました。
集会には全米各地から約二千人が参集。同連合加盟組織の代表やイラク帰還兵がイラクからの米軍の撤退を呼びかけました。ハリケーン・カトリーナの被災者救援やルイジアナ州ジーナでの黒人高校生への人種差別裁判への支援を求める人たちも登壇。イラク戦争が国内の問題とも直結していることを訴えました。
同時多発テロ直後の復興作業で体調を崩しながら、政府から補償を拒否された救急隊員のジョン・グレアムさんら、ドキュメンタリー映画「シッコ」に登場した人々もかけつけ、「戦争の拡大ではなく福祉の拡大を」と訴え、ひときわ大きな拍手を受けました。
「私は兵士ではなく、美術監督になりたい」と書いたプラカードをもって参加した地元の女子高校生テーラー・カウフマンさん(16)は「戦争が長引けば、私の夢も実現できなくなるかも」と言います。友人のクリスティーナ・ライングさん(19)は「兵士を帰国させることが一番の支援です。家族の気持ちになって訴えます」と話しました。
それぞれが被害者
反戦訴える三つ子姉妹
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米議会の前に立つ同時多発テロの被害者、イラク、アフガニスタンの連合軍兵士、イラクの国民。それぞれ胸からたらした赤い布が象徴するのは亡くなった人が流した血。布の大きさは犠牲者の数(二千九百八十八人、四千八百一人、三十六万五千人)に比例しています。
扮(ふん)するのはボストン在住のパフォーマンス・アーティストの(右から)サラ、ケリー、アリシアのカシリオ姉妹。二十八歳の三つ子です。
三人は二〇〇六年からこのパフォーマンスに取り組んでいます。これまでに全国規模の反戦集会のほか、9・11同時テロの「グラウンド・ゼロ」(ニューヨーク世界貿易センタービル跡地)でもやりました。
どこでも反応は上々とのこと。二十九日にワシントンの議会前で開かれた反戦集会でも三人の周りはたくさんの人々が集まりました。三人は、一時間を超える集会の間、一言も発することなく静かに戦争反対を訴えました。(ワシントン=山崎伸治 写真も)
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