2007年10月2日(火)「しんぶん赤旗」

消えた「安倍色」

首相所信表明


 福田康夫首相の所信表明演説からは、安倍晋三前首相が看板として掲げてきた「美しい国づくり」「戦後レジームからの脱却」「主張する外交」などのスローガンが消えました。

 「美しい国づくり」の目玉は、「戦後レジームからの脱却」でした。そして、「脱却」すべき最大の標的が憲法でした。

 安倍前首相は、この路線を進めるために、国会で改憲手続き法、改悪教育基本法、防衛省法などを次々と強行採決してきました。

 しかし、七月の参院選で、安倍路線に国民から「ノー」の審判が下されました。

 福田氏は、所信表明演説で、こうした安倍前首相の看板スローガンだけでなく、自民党の党是である憲法改定すら、一言も触れることができませんでした。福田氏の演説を聞いた自民党の国防族議員の一人は、「憲法改正には国会の(議席の)三分の二が必要なんだ。憲法改正なんて、今いえるタイミングじゃないよ」と首を振ります。

 もっとも、所信表明では改憲について「野党と話し合う『重要な政策課題』の中に含まれている」(政府関係者)というように、改憲路線は堅持しています。

 「美しい国」に代わって登場したのが、「自立と共生」「希望と安心」などというものですが、具体的中身にはほとんど触れませんでした。


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