2007年10月3日(水)「しんぶん赤旗」
英保守党
無償医療制度の拡充を約束
「新自由主義」生みの親に変化
【ロンドン=岡崎衆史】英野党第一党・保守党の「影の保健相」を務めるアンドルー・ランズレー下院議員は一日、英中西部ブラックプールで開催中の同党年次大会で演説し、無料もしくはわずかの料金で全住民に医療を提供している英国の医療制度・国民医療サービス(NHS)の予算を増やし、充実化を図ることを約束しました。また、貧しい人が医療を受けられない米国型医療制度を名指しで批判しました。
保守党は欧州でいち早く新自由主義政策を取り入れたサッチャー元首相(一九七九―九〇年)を生んだ政党。同元首相の時代に医療予算を抑制し、医療の質を著しく低下させた“戦犯”でもあります。しかし、九七年以来労働党に政権を奪われる中で、国民の支持を回復するためNHS重視策を打ち出してきました。発言はこの方向を改めて強調したものです。
ランズレー議員は、「保守党はNHSの政党だ」と主張し、無料の医療制度の破壊でなく充実を目指していることを宣言しました。さらに、選択肢や競争を拡大する改革を進めるとしながら、「NHSへの投資を毎年実質的に増やすことを約束する」と表明しました。
同議員はまた、「NHSは極めて重要な資産であり、分断社会において、社会連帯の基礎でもある。私たちは、米国の医療をだめにしている医療利用における不平等を容認しない」と述べ、米国の医療制度と比較しつつNHSの優位性を訴えました。
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